2023年度活動レポート(一般公募プログラム)第125号 (Aコース)
免疫系におけるエピジェネティック機構解明のための交流プログラム
和歌山県立医科大学からの報告
和歌山県立医科大学(和医大・医学部)は、さくらサイエンスプログラムの支援を受け、2023年12月13日~12月19日までの7日間、南洋理工大学(シンガポール)理学部にてエピジェネティック(ヒストンメチル化)機構や乳がん発症機構の研究を実施している、大学院生等7名、教員1名(Su I−Hsin准教授)の計8名を招へいした。滞在期間中に、和歌山県立医科大学 医学部・薬学部、大阪国際がんセンターで、がん発症機構の解明を目指し、見学と討議・交流を行った。
【初日】
シンガポール・チャンギ国際空港から関西国際空港に早朝に到着した。
その後、JRを利用して和歌山駅まで移動した。駅前のホテルにチェックイン・荷物を預けた後に、本計画全体の詳細なオリエンテーションおよび注意事項の説明を行った。午後には和歌山県立医科大学・薬学部を訪問し、薬学教育の見学および自然免疫等に関して議論を実施した。インド国籍の方やイスラム教の信者がおられることが分かっていたので、近隣の日本食レストラン(焼き鳥)で夕食歓迎会を実施した。その際には、和歌山県立医科大学・医学部4年生および5年生4名の学生に、講義および臨床実習の合間を縫って参加していただいた。
【2日目】
和歌山市内からJR・Osaka Metroを乗り継いで、大阪国際がんセンター(大阪市)を訪問し、交流会を実施した。交流会は、大阪国際がんセンター 松浦成昭総長の挨拶から始まり、研究所 糖鎖オンコロジー部(谷口直之 所長、大川祐樹 チームリーダー)、腫瘍増殖制御学部(東山繁樹部長、今川佑介チームリーダー)、がん創薬部(田原秀晃部長、赤澤隆チームリーダー)が研究室紹介と研究発表を行った。南洋理工大学からは、Su I−Hsin准教授(タイトル:The Role of Cytosolic Ezh2 in Breast Cancer)、Sint Thida Bo博士(タイトル:Ezh2 expressing dendritic cells prevent premature thymic involution)、Maegan Bunjamin博士(タイトル:The role of Setd3 in regulation of B cell activation and differentiation)が発表し、有意義な議論を持つことができた。また最後に、井上徳光教授(和歌山県立医科大学・連絡担当者)が閉会の挨拶をされた。
【3日目】
和歌山県立医科大学・医学部を見学した。法医学・難病発症機構研究部・病理学等の研究室を訪問し、研究交流を実施した。
【4日目】
桜の名所の吉野山(奈良県吉野郡吉野町)を訪問し、日本旅館に滞在した。当日は雨天および寒波が襲来し、常夏のシンガポールから来た南洋理工大学のメンバーにとっては辛い一日であった。しかし、豊臣秀頼によって再建されユネスコの世界遺産にも登録されている吉野水分神社や、修験道の聖地である金峯山寺での夕座勤行に参加し、身も心も清められた。
【5日目】
日本旅館での朝食後、吉野山からJRのローカル線を乗り継ぎ、和歌山に戻り、ホテルから徒歩圏内にある和歌山市内を散策した。
【6日目】
和歌山県立医科大学・医学部を訪問し、研究交流会を実施した。和歌山県立医科大学側の発表は、生化学教室(西辻和親准教授)・病理学教室(江帾正悟教授・及川恒輔講師)・生体調節機構研究部(佐々木泉講師)が、ご自身の研究紹介を行った。また特別講師として山崎小百合教授(名古屋市立大学)、福山英啓教授(関西医科大学)を招へいし、制御性T細胞・樹上細胞・アジュバントの最先端研究の紹介をしていただいた。南洋理工大学は、以下の4名の招へい者(Lei Gao・Nai Yao Lam・Luqi Huang・Khalilatul Hanisah Mohd Kahliab)に、現在進行中のエピジェネティック機構および乳がん発症機構に関する研究発表を行った。また最後に医学部学生の山本明日美様に、ご自身の自己紹介を兼ねた発表をしていただき、閉会となった。夕食は和歌山駅近くの和食料理店で滞在中最後の日本食に舌鼓を打っていただいた。
【7日目】
関西国際空港に移動し、早朝の便でシンガポールに帰国された。寒波の襲来で風邪等体調を少し崩された方がおられたが、何とかシンガポールに無事帰国できたので安心した。