2023年度活動レポート(一般公募プログラム)第124号 (Aコース)
学生企画による東京都立大学-ソウル市立大学の生命科学分野、研究技術交流
東京都立大学 理学研究科生命科学専攻
教授 高橋文さんからの報告
2023年11月13日から17日までの5日間、韓国のソウル市立大学(University of Seoul)の大学院生6名と教員1名を東京都立大学に招へいして、交流プログラムを実施しました。実施にあたり、理学研究科生命科学専攻の大学院生14名(留学生6名を含む)に学生企画委員となってもらい、プログラムの企画を担当してもらいました。
ソウル市立大の学生が来日する前の10月27日にオンラインのプレミーティングを行い、双方の大学院生の顔合わせとプログラムの概要の説明、滞在中に研究を体験してもらう研究室の紹介、学生間の連絡方法の確認などを行いました。ミーティングは学生企画委員がスライドの作成や当日の司会などを全て行い、充実した内容となりました。
11月13日に来日し、オリエンテーションや学生企画によるウェルカムパーティを行った後、2日目と3日目に実施した研究室体験では、ソウル市立大の学生6名が4つの研究室に分かれて担当学生企画委員の指導による実際の研究の体験をしてもらいました。体験を希望する研究室への割り振りの調整や体験内容の決定なども学生がほぼ全て主体的に行いました。動物・植物系統分類学に関する野外での採集の体験や、実験室内で行われる神経分子機能や細胞生物学分野の実験など、本学で行われているミクロからマクロスケールの幅広い生物学分野を体験してもらいました。
4日目に実施した東京ツアーの中では、東京大学附属の小石川植物園にて特任助教の先生にレクチャーと園内の案内をお願いしていたのですが、電車の遅延により到着時間が遅れるというハプニングがありました。そのため、残念ながら時間は限定されてしまったのですが、広い園内を同行した学生企画委員4名とともに見学することができました。
5日目には、本学生命科学科で毎年開催しているバイオカンファレンスにて、招へいしたソウル市立大学生命科学科のEek−hoon Jho教授による英語セミナーが開催され、多くの大学院生および教員が出席し、活発な議論がなされました。また、ソウル市立大の学生には、全員ポスター発表を行ってもらい、本学科との良い研究交流になりました。
大学院生のポスターにはポスター賞が設けられていましたが、ソウル市立大の学生1名と学生企画委員1名が授賞し、良い思い出になったと思います。その後に開催された意見交換会では、軽食を囲んで本学科の教員や学生と活発な交流を行うことができました。
全体を通して、本学の学生企画委員の連携はとてもよく、リーダーと副リーダーが中心となって担当する事項の役目を分担し、留学生と日本人の学生をバランスよく配置するなど多様性を考慮しながら企画する力をつけてもらうことができました。企画委員間の連絡はSlackを利用しましたが、コミュニケーションはほとんど英語でした。普段自分の研究室以外との交流が限られている留学生もフルに貢献してもらうことができた点は、留学生と日本人学生との自然な交流につながり、学科内の研究交流の促進にもつながったと考えています。また、ソウル市立大の学生にとっては、普段体験しないマクロ分野の研究を体験したり、研究内容について意見交換をしたりしたことで生命科学分野に関する視野を広げるきっかけになったと考えています。
本学科とソウル市立大学の生命科学科との交流はすでに10年以上続いていますが、双方に新しく加わった教員もおり、今後も交流を続けていきたいと考えています。さくらサイエンスプログラムの支援によって、今年度も充実した交流プログラムを実施することができましたことを大変感謝しています。