2023年度活動レポート(一般公募プログラム)第110号 (Aコース)
Society5.0の実現を担う人材育成のための日中交流プログラム実施報告
横浜国立大学 大学院環境情報研究院
社会環境と情報部門教授 吉岡克成さんからの報告
1. はじめに
本プログラムは、横浜国立大学と大連理工大学の間で相互に学生を相手大学に訪問させ、訪問と受け入れの両プロセスを通じて交流体験をいっそう効果的に発展させようとするものである。新型コロナ禍により4年ぶりの対面開催となった本年度は、まず9月に本学学生を大連理工大学に派遣し、次にさくらサイエンスプログラム「Society5.0の実現を担う人材育成のための日中交流プログラム」として12月3日~9日の間、大連理工大学の学生を本学に受け入れた。
2. 相互理解促進のための講義
プログラムの最初に、日中両国の違いを理解するための講義として国際戦略推進機構 于(う)臣(しん)准教授による「日本社会文化浅談(日本社会文化入門)」を設けた。様々な事例をもとに日本文化を紹介した。また、中国文化との違いも織り交ぜながらインタラクティブな授業を行い、本プログラムをスタートするにあたっては最適なものとなった。
講義に引き続き、両国の学生を中心としたディスカッションを実施した。中国と日本の違いとその背景について活発な議論が行われ、日中間の理解だけでなく、今回参加した学生同士の理解も深めることができた。
3. 研究室訪問と模擬講義
研究室訪問 本学大学院環境情報研究院の島研究室、白川研究室、吉岡研究室を訪問し、本学が実施している最先端の研究内容(AI、ロボット、セキュリティ)の紹介と、教員・研究室学生を交えた議論を実施した(写真3、写真4)。
ソフトウェア学部に所属する大連理工大学学生にとっては専攻外の分野ではあったが、非常に活発な質疑応答、ディスカッションとなった。研究室訪問の後の参加者からの意見としても、横浜国立大学の研究レベルの高さを認識し、また自身の視野を広げるきっかけとなったとのことで、新たな学術領域に触れる機会を創出できたと考える。
データサイエンスに関するコンピュータ演習(日本語のテキストマイニング)を行った。今回は情報系の学生が多く、データサイエンスの手法自体は学習経験があるとのことであったが、対象が日本語で日本語キーボードを持つPCを使用したこともあり、データサイエンスという流行の題材を日本語テキストマイニングの側面から体験したという点で好評を得た。
4. 県庁訪問および企業訪問
神奈川県庁を訪問し、神奈川県の多文化共生に向けた街づくり、ロボット特区、およびヘルスケアニューフロンティア政策に関する説明を担当者から直接説明される機会を得た。さらにキリンビール横浜工場、味の素川崎工場を訪問し、日本の食文化に触れるとともに、ロボットアーム等により自動化された生産工程の見学や、品質管理等に関する説明を受けた。調理体験やプロジェクションマッピングなど、趣向を凝らした説明は中国では体験できない機会だとの感想があった。
5. まとめと総括
最終日には、活動報告会と修了証の贈呈式、意見交換会を実施し、無事に全プログラムを終了した。活動報告会では、招へい学生が思い思いのプレゼンテーションを流ちょうな英語で実施した。本学の受入学生も参加した意見交換会は大変な盛り上がりを見せた。
本プログラムを通して、招へい学生には日本の最先端研究開発や高品質な社会システムについて理解いただき、本学学生は、英語での受入や優秀な海外学生との交流を通じて、海外での活動へ視野を広げる一助になったと考える。
このような機会を頂きましたさくらサイエンスプログラムと関係者各位に深く感謝いたします。