2023年度活動レポート(一般公募プログラム)第109号 (Aコース)
DNAナノテクノロジーに基づいた分子スケールのエンジニアリング
九州工業大学からの報告
2023年11月2日~8日の期間、中国廈門大学(Xiamen University)から学部学生7名と引率教員1名の計8名を招へいし、ナノバイオエンジニアリングに関する研究交流を実施しました。本事業では、DNAナノテクノロジーに基づいた分子スケールのエンジニアリングを中心とした科学技術交流を目的としました。
11月2日の午後に来日し、鉄道・地下鉄で宿泊先の都内ホテルへと移動しました。全員が初来日ということもあり、夕食で訪れたレストランでは、日本ならではの食事を楽しんでもらいました。翌日の3日から活動を開始し、東京工業大学の大岡山キャンパスの見学を行うことで日本の大学の様子を体感しました。そして、4日~5日にかけて、東京工業大学で開催されたDNAナノテクノロジーに関するワークショップに参加し、日中両学生の研究活動について紹介を行いました。来日した学生らも積極的に発言しており、有意義な時間を過ごすことができました。
6日からは九州工業大学飯塚キャンパスへと移動し、廈門大学の教員および本学教員2名から、各々が持つ研究成果に関して日中双方の学生に対してセミナーを開催し、科学技術交流を行いました。セミナーの内容は、ゲノム編集(廈門大・Prof. Luo)、DNAナノ構造の液‑液相分離(九工大・佐藤)、細胞のシグナル伝達のイメージング(九工大・森本教授)でした。本事業に参加した日中の学生らは、生物学・薬学・生物物理学・制御工学など専門を様々にしていました。そのため、普段は耳にすることのないトピックについて新鮮だったようで、数多くの質問が飛び交う活発な議論を行うことができました。来日した学生らは、学部生ながらも疑問に思った点などを積極的に質問しており、同席していた日本の学生らにとっても良い刺激になったことと思われます。また、参加した教員にとっても今後の共同研究への発展が期待できる時間を持つことができました。セミナー後にはキャンパスツアーとして学内をめぐり、どのような研究設備が整っているかなどを実際に体感してもらいました。
キャンパスツアーの後は飯塚市内にて本学の学生らと夕食を共にし、人的交流を深める時間を設けました。英語でのコミュニケーションは特に日本の学生らにとって最初はハードルが高かったようです。しかし、時間が経つにつれて意思疎通が取れるようになり、最後には互いの学校生活の様子や文化についてなど、楽しそうに交流を行っていました。
11月7日は、午前中に九州工業大学の国際生体分子デザインコンテストの参加チームと廈門大学からの招へい学生らによる科学交流を行いました。双方の大学の学生たちから、これまでの大学在籍期間で取り組んできた課外研究活動について発表してもらい、お互いに質疑を行う時間を設けました。前日の夕食を共にしたこともあり、リラックスした雰囲気で科学交流を行うことができました。
11月7日の午後は、当研究室の学生らとHands‑onで実験を行い、DNAを材料に作るマイクロサイズの構造について、その構築手順から顕微鏡による観察までを実際に体験しました。招へい学生の中には実験器具を触るのが初めてという学生もおり、有益な機会を提供することができました。
来日から帰国までのスケジュールは非常に過密でしたが、僅かな空き時間を利用してショッピングモールを訪れてお土産を買うなど、日本の科学技術に触れるのみならず日本の街並みや文化を体験することができたと思います。最後になりましたが、本プロジェクトの実施にあたりご協力いただいた関係者の皆様に、この場を借りて感謝申し上げます。