2023年度 活動レポート 第106号:一関工業高等専門学校

2023年度活動レポート(一般公募プログラム)第106号 (Aコース)

フランスISEN工科大学と一関工業高等専門学校との研究プログラムを主体とする学生交流

一関工業高等専門学校からの報告

 一関工業高等専門学校では、2023年10月29日~11月4日の間、フランスISEN工科大学(Institut supérieur de l'électronique et du numérique)から総勢10名を招へい者として迎え、研修を実施しました。

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一関高専荒木校長と記念撮影

【キャンパスツアー】

 初めに荒木信夫校長と挨拶を交わしたのち、施設見学を行いました。機械実習工場では、フライス盤や旋盤作業、溶接作業等の説明を受け、AR溶接訓練シミュレーターを体験しました。化学工学実習工場では化学・バイオ系の渡邊崇教授・星靖特命助教が研究する閉鎖循環式陸上養殖システムでチョウザメの育成の様子を観察し、ウニの餌やりを体験しました。
 また、留学生を中心とした本校学生が課外活動を企画しました。書道教室では、学生が筆の使い方をアドバイスし、研修生の希望する漢字を選ぶなど、学生同士の交流が深まりました。さらに機械技術部では高専ロボコンに出場したロボットや制作過程の説明を受けるなどの交流を行いました。

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陸上養殖システムでウニの餌やりを体験

【研究体験】

 研究室訪問では、

  • 情報・ソフトウェア系の宇梶郁教授からコンピュータネットワークやサイバーセキュリティについて
  • 電気・電子系の川合勇輔助教からモーションコントロールとロボティクスについて
  • 機械・知能工学系では鈴木明宏教授の研究室の学生から認知症の早期発見につながるデバイスについて
  • 藤原康宣教授の研究室の学生からロボットの開発について
  • 村上明教授から超電導の研究について
の説明を受けました。

  • 化学・バイオ系では岡本健准教授および戸谷一英特任教授の研究室を見学し、機器の用途や医学への応用に関する説明を受けたほか、本校に隣接する岩手県南技術研究センターも見学しました。

 授業見学では、情報・ソフトウェア系の小林健一准教授の画像処理の授業に参加しました。授業は日本語でしたが、プログラミング言語の知識がある研修生は内容について理解していました。また、1年生の「ものづくり実験実習M」を見学し、学生が実習工場の機械を操作して部品を製作する様子を見学しました。

【学外研修】

 近隣の文化施設の見学として中尊寺を訪れました。中尊寺金色堂や能舞台、宝物館等を見学し、東北地方の歴史と文化に触れる機会を得ました。奥州市水沢では、南部鉄器の釜鉄瓶工房・佐秋鋳造所を見学しました。鋳型の製作、文様捺し、熱して溶解した鉄を鋳型に流し込む過程、研磨と着色等の一連の工程についての説明を受けながら、鉄の塊を持ち運ぶなどを体験しました。
 一関市では民泊ゲストハウスに宿泊しましたが、ホストファミリーが一関市の伝統である餅文化を紹介してくださいました。研修生は餅つきを体験したのち、餅御膳を囲んで本校学生とともに地域の方々と交流しました。ISEN学生がフランス文化の紹介を、本校学生が一関高専の紹介を行い、お互いの文化についての理解が深まりました。
 帰国の際に東京へ移動し、日本科学未来館では多彩な最新の科学技術展示を見学し、チームラボプラネッツでは作品への没入感を体験しました。

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南部鉄器工房の見学

【成果報告会】

 一関高専での最終研修日は、3グループに分かれて成果発表のプレゼンテーションを作成し、報告会を開催しました。研修で学んだことや感じたことなどを、フランスと日本の文化や生活、感じかたの違いなどを交えて、全員が発表を行いました。その後、本校教職員、学生と意見交換を行い、各校の理解と交流を深めました。

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成果報告会の様子

【総括】

 本プログラムの目的の一つとして、次年度以降に2~3ヶ月のインターンシップのために派遣されてくる学生の「プレ・インターンシップ」の位置づけがあります。本プログラム修了後、複数の学生が本校でのインターンシップを希望しており、本校の研究への理解を深め、日本での生活を体験したことから、研究活動の円滑な開始が期待されます。

 最後に、JSTさくらサイエンスプログラムのご支援に心から感謝申し上げます。本プログラムを通じて、ISEN工科大学と本校の交流の一層の発展が期待され、学生たちにとっては科学技術や文化を通じて国際交流を学ぶ貴重な機会となりました。