2023年度 活動レポート 第98号:名城大学

2023年度活動レポート(一般公募プログラム)第098号 (Aコース)

さくらサイエンスプログラムで見たこれからのインドネシアの未来

名城大学からの報告

 2023年10月15日から10月21日まで、「さくらサイエンスプログラム」により、インドネシアにあるアイルランガ大学から10名の学生が来日しました。両大学はこれまでも多くの交流実績がありましたが、学生は共同研究で得られたデータに接するのみでした。そこで、実際にどんな機器を用いてどのように測定されるかを見てみたいという学生からの希望により、今回の来日に至りました。

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名城大学天白キャンパスにて

【初日】

 午前中に中部国際空港に到着し、皆感激の一歩を踏み出しました。その後、名城大学薬学部のすぐそばにある八事山興正寺、そして1900年以上の歴史を持つ熱田神宮を見学しました。学生は、日本人が仏教と神道という二つの宗教と深く関わった生活をしていることへの驚きと興味を感じていたようでした。

【2日目】

 午前中、本学のメインキャンパスである天白キャンパスを見学しました。「赤﨑・天野・吉野ノーベル賞記念展示室」や、本学のシンボルであるタワー75の展望ラウンジから一望できる名古屋の景色を堪能しました。午後は薬学部のある八事キャンパスに移動し、薬学部長からの歓迎の言葉の後、アイルランガ大学、名城大学薬学部の学生による、それぞれの国、文化、街、大学、研究などの紹介が行われました。その後の交歓会では、日本人学生がなかなかコミュニケーションを取れませんでしたが、だんだん慣れてくると積極的に話せるようになり、大いに盛り上がっていました。

【3日目】

 薬学部天然物化学研究室で、植物などから得られたエキスを分離し、純粋な物質に精製する方法についての座学を行った後、実習を行いました。学生は、とても熱心に、そして積極的に、具体的な例を挙げ質問していました。さらに実習では、より精密に分離するために用いる高速液体クロマトグラフィ(HPLC)に没頭し、自分たちが持参した試料を夜遅くまで分離していました。

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天然物化学研究室での実験風景

【4日目】

 同じく天然物化学研究室で、化学構造を決定するために用いる各種スペクトルについての座学をおこなった後、核磁気共鳴分光装置(NMR)で、いくつかの試料のスペクトルを測定しました。実は、学生たちにとっては, HPLCとNMRを自分で使ってみるということが、一番の目的だったようで、後述の5日目、6日目にはそれぞれの見学後、研究室に来て、時間の許す限り熱心に実験していました。その甲斐あって、インドネシアでなかなか分離できず苦労していた試料からいくつかの純粋な化合物を分離し、NMRスペクトルを測定した結果、ある程度構造も決定できたのは大きな収穫だったと言っていました。

【5日目】

 日本の自動車工業を学ぶため、愛知県長久手市にあるトヨタ博物館を見学しました。インドネシアで使われている車の大部分が日本車で,とりわけトヨタ車の比率が高いだけに、興味を持って見学していました。

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トヨタ博物館で記念撮影

【6日目】

 岐阜県各務原市にある内藤記念くすり博物館およびエーザイ川島工園を見学し、日本の製薬工場の様子、薬の歴史や薬の開発について学びました。また、隣接する薬用植物園では自分たちの国の呼び方と対比させながら見ていました。この日、薬学部に戻ってきてからは、箏曲部による箏の演奏を聴きました。演奏後はアイルランガ大学の学生の企画で、日本人学生も一緒にインドネシアの曲に合わせてダンスをしました。箏曲部の部員にとっては、突然のことではありましたが、少しすると、リズムにのってきて、とても楽しい一時を過ごすことができました。

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名城大学箏曲部の演奏を鑑賞

【7日目】

 帰国は関西国際空港になっておりましたので、午前中に修了式をした後、少々早めに名古屋を出発し、途中の京都に途中下車し金閣寺を拝観しました。きらびやかに光る金閣寺を見てみんなしきりに写真を撮っておりました。そして、京都から空港に向かい、帰国の途につきました。さすがに空港までの電車の中では、充実した毎日だった反面、だいぶ疲れが溜まっていたようで、すっかり寝込んでしまう学生もいました。

 学生たちは皆、是非、日本で研究を続けたいと口々に言っておりました。これも「さくらサイエンスプログラム」のご支援の賜と思います。これからも、アイルランガ大学をはじめ、インドネシア国内の大学との交流を促進していきたいと思っています。とても有意義な国際交流の機会をいただきましたことを心より感謝申し上げます。