2023年度活動レポート(一般公募プログラム)第092号 (Aコース)
芸術工学インターナショナル・ウインタースクール 2023
Envisioning the Future of Design
九州大学からの報告
九州大学大学院芸術工学府は、さくらサイエンスプログラムの支援を受け、2023年11月5日から11日の期間で、第2回となる芸工インターナショナル・ウインタースクールを成功裏に実施することができました。
今回は、カンボジア、ドイツ、インドネシア、インド、台湾、タイの6カ国および地域8大学(バンドン工科大学、ジャダフプール大学、国立台湾師範大学、ランシット大学、カンボジア王立芸術大学、セベラスマレット大学、シラパコーン大学、ケルン大学)から10名の参加者を招へいしました。
プログラムの参加者にとって、本学芸術工学府の新課程を垣間見ることができ、また本学大学院での修学研究室体験、また日本人学生や留学生との交流、日本の文化や働き方を理解する機会となりました。
さらに、プログラム参加教員の研究内容を深く理解するためのラボセッション、先進的で多様な研究施設を見学するキャンパスツアー、博士コロキアム、TOTO株式会社への企業訪問などを通して、参加者はさまざまな分野の見識を深めることができました。
プログラム2日目に行われたキャンパスツアーでは、音響特殊実験棟、環境適応研究実験施設、居住空間実験住宅、工作工房、そして新しくなった芸術工学図書館を見学しました。3時間という長時間の見学でしたが、参加者は本学の研究施設に魅了され、良い学習経験となったようです。
プログラムの中盤に実施したラボセッションでは、参加者は研究室に分かれてそれぞれの研究分野に関係する教員からさまざまな知識や技術を学びました。活動内容は九州大学総合研究博物館、大宰府天満宮、能古島の小中学校での学外活動のほか、デザインリサーチや社会創造ワークショップ、AIを活用した画像制作、3DレーザースキャナーとVRを活用した建築データのスキャンとアーカイブ、心電センサーを使った実験など多岐に渡りました。参加者は皆、ラボセッションでの学びを楽しんだと感想を述べており、ラボセッションを通じて教員ともっと多くの時間を過ごしたいと望む声が多くありました。
今年はウインタースクールの一環として、博士コロキウムを実施しました(プログラム4日目)。 本学博士課程の学生たちが取り組んでいるさまざまな研究を参加者に紹介しました。それらの発表は参加者の視野を広げ、研究アプローチへの洞察を深めました。
北九州市にあるTOTO株式会社への訪問は、プログラム終盤の目玉でした。目からウロコの連続だったようです。参加者は工場に案内され、製品がどのように製造され、組み立てられるかを見学しました。その後、TOTOの歴史と会社のビジョンを理解するために博物館にも案内されました。そこでは、TOTOのデザイナーたちが、デザインに関するそれぞれの体験を語ってくれました。
最終日、プログラムの総括として行われた参加者による最終プレゼンテーションでは、講義、ラボセッション、キャンパスツアーによって、自分の専門分野だけでなく、専門外の知識や視野も広がり、新たな可能性を見出すことができたと語りました。それらの経験は彼らにとって示唆に富み、刺激的なものだったようです。また、参加者を空港まで送迎し、福岡市内の案内やラボセッション、日本の文化や食事の紹介、カラオケで一緒に歌う(!)など、ホスピタリティ溢れる対応をしてくれた本学の学生たちにも参加者は大いに感謝していました。プログラムの最後にはフェアウェルパーティーが催され、参加者全員がこの1週間を懐かしみ、新たな友情を育んだようです。
このプログラムは短い期間で、研究発表、見学(キャンパス、企業、文化)、体験活動や実験、講義、当学学生との交流、当学文化祭などを通して、さまざまな学習体験を提供することができました。参加者は、当学での学習・研究の概要を知ることができ、海外のデザイン分野の教員や学生にとって効果的かつ包括的なプログラムであったと言えます。博士コロキアムなど、さらに改善をすすめ来年度以降のプログラムに反映していきます。