2023年度 活動レポート 第79号:東京工科大学

2023年度活動レポート(一般公募プログラム)第079号 (Aコース)

AIを生かした学際的な人材育成

東京工科大学工学部
教授 佘錦華さんからの報告

 ChatGPTという対話に特化した言語モデルの登場は、社会の各方面に旋風を巻き起こした。これを契機に、どのようにAIを生かして学際的な人材を育成するか、様々な立場から検討と議論が活発に行われている。
 これを背景に、2023年8月20日~26日の間、中国地質大学(武漢)未来技術学院の大学生10名を本学に招へいし、さくらサイエンスプログラムの支援による、「新しい情報技術分野と工学分野における、AIを生かした学際的な人材育成交流」を行った。

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参加者の集合写真(全員東京工科大学のキャンパスの綺麗さに驚いた)

 工学部で開発された各種ロボットについて、AI技術を生かして、ヒューマンセントリックモビリティ、生体情報との連携や、ネットワーク制御という立場での研究紹介に、参加者たちは深く感銘を受けた。東京都立大学の久保田直行先生によるTopological Intelligence for Multiscopic Simulationsという招待講演や、東京工科大学の先生方の講演と実演により、各種分野におけるAIの研究に触れ、日本におけるAI研究のレベルの高さにみな驚いた。また、中央大学名誉教授の渡辺俊彦先生は、日中市民の交流を振り返り、その重要性を改めて若い世代の皆さんに伝えた。

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講演会後の質疑応答

 特に、仙台で開催される国際会議にて受賞されるために来日していた中国地質大学(武漢)の王 焔新学長は、わざわざ仙台から東京工科大学まで応援に駆けつけ、日中交流の重要性などについて経験を交えながら学生たちを激励した。

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中国地質大学(武漢)王焔新学長は仙台から東京まで駆け付け学生たちを激励した

 NHK学生ロボコンは、工学部が精力的に取り込んでいる挑戦プロジェクトである。それにより、学生が、課題解決型学習(Project−based learning)という手法でアクティブに勉強することにより大きな成果を挙げている。今回もロボコン参加者による体験談の説明や、製作したロボットの実演などを行い、日中のロボコンの話などに花が咲いた。

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ロボコンの説明と実演(その後、学生同士の交流は所定時間を超えて活発に行った)

 コーオプ教育は、工学部が積極的に推し進めている、学内の授業と学外での就労経験型学修を組み合わせた教育プログラムである。コーオプ教育参加者より、この授業によって実感した実践力や総合的な社会人基礎力などの育成について、体験談を披露した。このようなスタイルの教育実践について、地質大学の参加者は非常に興味を持ち、詳しく説明を求めていた。

 このような学生同士のふれあいにより、互いの距離を縮め、参加者の皆さんは日本の大学やその環境を身近に感じるようになった。
 一方、産学共同研究と技術革新の代表として、地元の菊池製作所は名が知られている。今回、同社を見学し、研究シーズを製品化して実用化するための日本企業の取り組みを紹介した。
 また、日本科学未来館を見学したり、浅草寺や上野を散策したりするなど、様々な人々と出会い、文化の面からも東京を満喫することができた。
 帰国直前の終了報告書にはみな、「もっと交流したい」と書いていた。そして、全員が「ぜひまた日本で勉強・研究をしたい」という夢を膨らませて無事に帰国した。