2023年度 活動レポート 第78号:明治大学

2023年度活動レポート(一般公募プログラム)第078号 (Bコース)

脳情報通信によるコミュニケーション拡張技術の社会実装に関する日韓共同研究

明治大学理工学部
教授 小野弓絵さんからの報告

 2023年7月30日から8月9日にかけて、韓国の高麗大学校(Korea University)から教員1名、学部生4名、大学院生5名の計10名が明治大学生田キャンパス・理工学部を訪問し、理工学部電気電子生命学科の教員および明治大学研究・知財戦略機構の博士研究員による指導のもと、電気電子生命学科・機械情報工学科・応用化学科および総合数理学部先端メディアサイエンス学科の学生10名と共同研究を実施しました。本学と高麗大学は1995年に大学間で協定を締結しており、本プログラムは、同校との今後の継続的連携、また将来的に博士後期課程やポスト・ドクターレベルでの交換留学や、二国間交流事業のさらなる実施等の発展的関係構築を行うための、研究交流の第一歩となりました。

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第1日目のレクチャーセッションの様子

 生体信号処理を学んでいる高麗大学の学生たちと、VR技術を学んでいる明治大学の学生たちの共同研究のテーマとして、このプログラムでは脳活動によるVR空間内のコミュニケーション拡張の研究に取り組みました。初日は脳活動や生体信号処理についてのレクチャーと脳波計測の実習、明治大学の学生が制作したVRアプリケーションの体験を行ったのち、日韓学生6名ずつからなる3チームに分かれて作成するアプリケーションの構想を立てました。翌日からはチームごとに生体計測やプログラミング、予備データ取得などを通じて、アプリケーションの作成を行いました。毎日、指導教員を含めたチームごとのディスカッションや発表セッションを行い、課題を明確にしながら取り組んでいました。

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チームに分かれてのディスカッション
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VR技術&脳波計測の体験セッション

 学生たちは8月5日に日本科学未来館の見学、8月6日には生田キャンパスで行われていた明治大学オープンキャンパスにも参加し、日本の科学技術や大学行事を体験しました。8月8日には成果発表会を行い、学内の教員や学生も参加して熱いディスカッションが繰り広げられました。第1班は定常誘発視覚電位反応を応用した研究を行い、VR空間内のオブジェクトを見るだけでコマンド入力のできる意思伝達装置について発表しました。第2班はVR空間内で恐怖を引き立てる映像を視聴し、恐怖度に応じてアバターの表情が変化する意思伝達システムの開発を行いました。第3班はVR空間内で行う認知的作業(ゲーム)を行っているユーザーのモチベーションや集中度を脳活動から検出し、作業の難易度やエフェクトなどを変化させてユーザーの能力を最大限に引き出す適応型作業空間についての提案を行いました。最後に修了式を行い、参加者には修了証が手渡されました。

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日本科学未来館見学

 学生たちは事前ミーティングでの共同作業は行っていたものの、お互い慣れない英語でのコミュニケーションということもあり始めは緊張した雰囲気でしたが、プログラムを通じて友情も深まり、最終日には参加学生のほとんどが空港まで高麗大学の学生を見送りに出向くなど強い絆ができたようです。また1週間あまりの時間を共有できたことで相手国の教員とも充分な情報交換ができ、現在も月に1度のミーティングを継続して持続的な共同研究への接続を目指しています。

 最後に、高麗大学と明治大学の更なる交流発展の貴重な機会を与えていただいた本プログラム並びにプログラム実施へのご尽力を頂いた皆さまに深く感謝いたします。

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修了式にて集合写真