2023年度活動レポート(一般公募プログラム)第077号 (Cコース)
持続可能な地域モビリティシステム開発と社会実装に関する交流
名古屋大学未来社会創造機構からの報告
名古屋大学未来社会創造機構では、JSTさくらサイエンスプログラムの支援を受け、2023年8月21日から8月27日までの期間、中国の清華大学と北京交通大学から、若手研究者(学生9名を含む)13名、引率者2名を招き、モビリティイノベーションに関する研究交流会及びイノベーション技術の社会実装など持続可能な地域モビリティシステムに関する現地体験を実施しました。
本プログラムではモビリティイノベーションにおける先端的技術開発について学ぶとともに、このような技術を適用した地域社会モビリティについて体験することで、持続可能なモビリティシステムのあり方及び地域社会への実装に向けた課題発掘とその解決方法について学ぶことを目的としています。また、モビリティイノベーションをテーマに研究している多様な分野の研究者と学生同士での交流を通して、若手研究者間での分野横断の国際的繋がりが作られ、今後の継続的な連携と優秀な人材の受け入れにつながることが期待されます。
プログラムでは、名古屋大学未来社会創造機構モビリティ社会研究所の研究施設の見学を実施し、VRとDSを融合した高精度ドライビングシミュレータを試乗、名古屋大学TMI卓越大学院プログラムの自動運転テストベッド、小型電動モビリティシェアリングテストベッドの見学などを実施し、モビリティ領域における先端的技術について実フィールド体験を通して学ぶことができました。テストベッド見学では、TMI卓越大学院プログラムの学生たちから説明があり、次世代に貢献できるモビリティのあり方などについて多様な分野の視点から学生同士で議論することができました。また、学生同士で自国文化や大学についての情報を共有し、新しい知識や視点を得る貴重な機会になったものと思われます。
名古屋大学COI−NEXTマイモビリティ共創拠点の社会実装フィールドの見学では、オンデマンド型自動運転送迎サービス「ゆっくり自動運転」のEV車両を試乗し、自動運転やMaaSなど先端的技術を活用した地域社会における高齢者の移動課題解決について学ぶことができました。中国社会も少子高齢化社会を迎え、高齢者の移動問題の解決と次世代の移動変革が喫緊の課題となっており、モビリティイノベーションの今後のあり方や社会実装の重要性について共通の課題意識を持っていることで、今後とも継続的な連携と交流を促進することが期待されました。
東京都市圏を訪問し、東海道新幹線と東京地域公共交通ネットワークのシステム化などについて現地調査をするとともに、東京理科大学にて、大都市圏における公共交通システムの構築に関するセミナーを実施しました。マルチモーダル交通システムの快適さ・利便性・環境への配慮などについて学ぶことで、成長を続けている中国大都市圏での持続可能なモビリティシステムの構築に向けて議論することができました。
本プログラムの最終日には修了証が授与され、招へいされた参加者たちは、担当者によって空港まで見送られて帰国し、本プログラムを無事に終了することができました。ご支援くださったJSTさくらサイエンスプログラムおよび関係者の皆様に深く感謝申し上げます。