2023年度 活動レポート 第76号:兵庫県立神戸高等学校

2023年度活動レポート(一般公募プログラム)第076号 (Aコース)

ラッフルズ・インスティテューション(シンガポール)との交流プログラム再開

兵庫県立神戸高等学校からの報告

 新型コロナウイルス感染症の影響で実施できていなかった受入プログラムを今年度実施することに、神戸高校生や学校のみならず、保護者(PTA)の期待も大きかった。ラッフルズ一団の来校に向けて、その歓迎会準備や交流研修プログラム編成に多くの機関、部署、部活動に協力してもらった。

 8月22日。真夏の暑い日差しの中を、真っ白な制服に身をつつんだラッフルズ生が来校した。神戸高校に続く険しい上り坂を上がってくるラッフルズ生を、バディの神戸高校生が迎え入れて再会の喜び(8月10日~17日まで、神戸高校生はシンガポールで研修実施)を共有した後、歓迎会が行われた。歓迎会では、ESS生徒のプログラム進行をベースに、神戸高校紹介の應援團演舞や弦楽部の歓迎演奏、ラッフルズ生によるハカの披露などで大いに盛り上がった。そして、久しぶりの交流を祝して記念品の贈呈が行われた。歓迎会後は、早速プログラム活動が始まり、神戸湾岸施設見学を通して、神戸の港町としての歴史をたどりながら、川崎重工の技術について学んだ。ラッフルズ生の質問等に対して神戸高校生が積極的に英語で情報を提供する場面が多く見られた。湾岸施設から神戸高校に戻ると、そこで出迎えてくれたのがホストファミリーたちであった。ラッフルズ生との対面の場には笑顔や明るい声が溢れており、この日を待ちわびていたホストファミリーたちの気持ちが窺えた。

 8月23日午前のプログラムは研究発表でスタートした。本校総合理学科に所属の3年生による課題研究発表と、ラッフルズ生による研究発表で、当初予定していた発表時間を超えての発表・質疑応答が繰り広げられた。ラッフルズ生の高度な発表に、一般参加(この研究発表の傍聴に特別参加応募)した生徒や、本校教員も強い衝撃・刺激を受けた。午後からは、日本の伝統建築を学ぶために竹中大工道具館を拝観。文化的な要素にも関心の強いラッフズル生に、神戸高校生が熱心に説明をしていた。シンガポールとの建築様式の違いは勿論、日本人の建築概念と古から続く自然との関係性を深く学んだことだろう。

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研究発表

 8月24日、また暑い朝が来た。この日は終日かけてロケット製作講義、ロケット製作、ロケット打ち上げ実験というプログラムであった。これと同様の実験はシンガポールでは行えないという背景もあり、ラッフルズ引率教員の二人も興味津々であった。講義担当の理科教員が英語で講義を行なった後、ラッフズル生と神戸高校生がペアになって共同作業を進めていった。ロケット構造の知識を確認しながら実際に製作作業を進めてく中で、ペアごとに異なる課題もあったが、うまく協力・交流しながらロケットを完成させた。実験会場であるグラウンドに移動した両校生徒たちは、暑さに負けることもなく、意気揚々とロケット打ち上げを行った。「打ち上げ飛距離の一番短い(より真っすぐに打ち上げられた)ペアが優勝」という競争をした。各ペアで天候の要素等を考慮し、気持ちを一つにして打ち上げを行っていた姿は誇らしいものであった。

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ロケット製作
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ロケット打ち上げ実験

 8月25日、あっという間に交流プログラム最終日を迎えた。この日の集合時間は朝7時15分。京都大学訪問ということでバディの神戸高校生以外にも多くの一般参加生徒が加わっての交流活動である。一般参加の生徒たちも積極的にラッフルズ生に英語で話しかけ、ラッフルズ生と大きな声で笑いあう姿もあった。京都大学に着くころには、バスの中全体がこの日の研修に向かう姿勢が出来上がっていた。午前中は京都大学のエネルギー科学研究科の施設見学と講義を受講した。生徒自身が日々の研究に抱いていた問題点に対するヒントを得たり、それを英語で共有したり、将来サイエンスに携わる者としてのビジョンを通した国際交流となった。午後からはiCeMS(京都大学、物質−細胞統合システム拠点)に移動して研修プログラムが始まった。日本でもこのiCeMSでしか使えないような研究機材を見せてもらい、また、研究データ解析等の説明を受ける中で、実際に国際的な研究機関で働くイメージを両校の生徒は感じることができただろう。外国人研究者(シンガポール人)による「日本の研究機関で研究職に就くということ」についての講話もあり、ラッフルズ生が将来また日本で研究したいと思えるような意識を育むことができた。

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京都大学訪問

 26日の午後、ホストファミリーとの別れを渋るラッフルズ生は神戸高校からシンガポールへの帰国の途についた。

 この科学交流プログラムを通して、ラッフルズ生と神戸高校生が、科学がもたらす人と人、国と国を結ぶ力を実感すると共に、今後の研究活動への意欲を高めることができたと確信している。