2023年度 活動レポート 第68号:茨城大学

2023年度活動レポート(一般公募プログラム)第068号 (Bコース)

量子線分子科学シミュレーションに関するアジア諸国との共同研究

茨城大学大学院理工学研究科量子線科学専攻からの報告

 2023年10月9日から28日まで、茨城大学大学院理工学研究科量子線科学専攻では、タイ・マヒドン大学から、大学院生2名、教員1名、ベトナム・ベトナム国家大学ハノイ校科学大学から大学院生1名、大学生1名、教員1名、台湾・国立台湾師範大学から大学院生1名を、さくらサイエンスプログラムの援助で招へいいたしました。プログラムのテーマは、「量子線分子科学シミュレーションに関するアジア諸国との共同研究」であり、量子線(中性子線,X線,ミューオンなど)を利用した国内で唯一の教育・研究を行っている量子線科学専攻を有する茨城大学において、量子線を利用した最先端の理論計算シミュレーションに関する国際共同研究を行いました。

 来日前の2023年10月5日に、オンラインによる顔合わせとガイダンスを行い、森聖治・大学院理工学研究科量子線科学専攻長による茨城大学の紹介と招へい者の自己紹介、来日後の日程の説明などをしました。10月9日午前中に、招へい者を成田国際空港で出迎えた後水戸市に移動しました。10月10日午前中に、茨城大学理学部(水戸キャンパス)で全体ガイダンスを行い、研究倫理の簡単な説明や西川浩之・大学院理工学研究科教授による安全講習を実施し、その後各研究グループで、量子化学計算による触媒反応機構の解明や分子動力学シミュレーションによるタンパク質のドッキングシミュレーション、発光性高分子の光物性とその評価を行いました。いずれも、量子線での解析された構造や中間体などの実験情報が必須のものでした。

 来日した大学院生や大学生はいずれも優秀で努力家であり、茨城大学滞在中は、研究に精力を注いでいました。また、茨城大学の学内の学部生や大学院生とも交流をしました。来日中数回、それぞれの研究室内で研究進捗ミーティングを行いました。写真に載っている台湾師範大学大学院生による森研究室内でのミーティングでは、オンラインで台湾師範大学の研究グループとも繋げ、森研究室の学生は研究内容を英語で発表しました。

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さくらサイエンス招へい大学院生(台湾)による共同研究の進捗状況を報告

 第5回量子線分子科学の実験と理論に関するアジアワークショップ("Asian Workshop of Experiment and Theory in Quantum Beam Molecular Sciences")を10月20日、茨城大学理学部で実施しました。東南アジアからの交流が豊富な徳島大学の小笠原正道教授(有機金属化学)、茨城大学学内(このワークショップでは茨城大学カーボンリサイクルエネルギー研究センター(CRERC)の紹介も行った)や、さくらサイエンスプログラム招へい者の研究内容の講演のほか、台湾・国立台湾師範大学の大学院生の指導教員であるMing Kang Tsai教授、およびスペイン・バレンシア大学Mar Ríos Gutiérrez助教授によるオンライン講演があり、国内外の研究者および茨城大学の教員との学術交流を深めました。

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第5回量子線分子科学の実験と理論に関するアジアワークショップ(2023/10/20)

 茨城大学の近隣にある、日本が世界に対して誇る大強度陽子加速器施設J−PARC(茨城大学東海村)での施設見学を、10月26日午前中に実施した後、午後には研究活動報告会を行い、無事に修了証を渡しました。

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J−PARC(大強度陽子加速器施設)見学(2023/10/26)

 帰国前日の10月27日には、東京・台場にある日本科学未来館を見学し、日本の最先端の科学技術展示を楽しみました。10月28日には全員無事に帰国。帰国後も、共同研究を含む交流を続けています。招へい者7名からの修了アンケートでは、全員が体験してよかったとの回答をいただいた。今後も、当専攻では、学術的国際交流に力を入れる予定である。

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日本科学未来館・見学前の集合写真(2023/10/27)