2023年度活動レポート(一般公募プログラム)第067号 (Aコース)
シンガポールNJC生徒との「水」をメインテーマとした科学技術交流
早稲田大学本庄高等学院からの報告
【概要と特色】
シンガポールにあるNational Junior College(以下NJCと略)は、2007年に姉妹校交流を開始して以来、毎年交流を重ねている学校である。単なる訪問交流に留まらず、事前のオンライン交流を含め、共同研究を軸としていることがその特徴である。シンガポールが水の自給に取り組んでいること、世界的に今後水問題が深刻化することが予想されることから、今年度の共同研究テーマを、「水」とした。
10月28日~11月2日の間、NJCの生徒6名教員2名が本校を訪問し、日本の水事情を中心とした科学技術研修を行った。以下にその詳細を述べる。
〈7月12日〉
17時~18時(日本時間)、オンラインのミーティングを行った。自己紹介の後、両国の水事情の紹介を行った。
〈10月28日・本校は文化祭初日〉
羽田空港でピックアップの後、バスで群馬県富岡市にある群馬自然史博物館へ。ちょうど、企画展「ポケモン化石展」を開催していた。展示の切り口もよく考えられていて、大人が見ても興味深かった。
その後、近くの和菓子店のご好意で、フルーツ大福作りの体験をさせていただいた。
〈10月29日・本校は文化祭2日目〉
午前中、小山川での河川生物調査を行った。シンガポールでは河川に入ることができないため、例年NJC生徒に人気の高いプログラムである。小山川は利根川の支流で水質が比較的良く生物環境の良い河川であるが、近年外来種が多くなってきている。そのような環境の変化の指摘を行った。
午後は、文化祭を見学してもらった。
〈10月30日〉
午前中、埼玉県環境科学国際センター木持謙先生をお招きし、河川の水質に関するワークショップを実施した。比較的水質の良い小山川、人工の農業用水路の男堀川、水道水の水質をパックテストやデジタル計測器を用いて測定し、結果について検討を行った。小山川・水道水は直前に現場から採取した水を使ったが、男堀川は現場まで出向きその場で測定を行った。
午後は、さいたま水族館でアメリカザリガニに関するワークショップを行った。ここは淡水の生物に特化した水族館であり、前日の河川調査の経験に結びつけることを期待し、このプログラムを組み込んだ。
〈10月31日〉
この日は終日、校内での交流を行い、午前中は授業に参加した。「書道」では、書にチャレンジ。「情報」ではシンガポールと日本双方の文化と学校紹介のプレゼンテーションを行った。
午後は、茶道部による歓迎お茶会の後、スーパーマーケットで買い物をし、調理室で日本とシンガポールの料理を作り、お互いの文化への理解を深めた。
〈11月1日〉
午前中、JAXA地球観測センターのツアーを行った。センターの紹介の後、特に気象衛星技術の説明が印象的であった。職員の方のご配慮で、シンガポールの国旗が掲揚されていた。
午後は、ヤマキ醸造で醤油づくりワークショップを体験した。このプログラムは、水資源の豊富な日本において、水がどのように伝統技術に生かされているのかを理解してもらう意図で組み込んだものである。施設内にある、地下水を崇める小さな神社の見学もさせていただいた。
翌日のスケジュールがタイトであることを考え、この日の夕方に閉会式とCertificateの授与を行った。
〈11月2日〉
この日が本プログラムの最終日である。午前中に早稲田大学西早稲田キャンパスのキャンパスツアーを行った。
〈最後に〉
以上の内容で、今年度のプログラムを終了した。本来であれば、「水」問題に関するディスカッションや成果のプレゼンを行うことを予定していたが、アフターコロナの航空運賃高騰により航空運賃削減のため、当初の予定よりもスケジュールがタイトになってしまい、実施できなかったことが残念である。
このプログラムに参加したことにより、特に水問題に興味を持ち、将来の世界的な環境問題に挑戦する科学技術者が生まれること、そしてその留学先が日本であれば、望外の喜びである。