2023年度 活動レポート 第65号:奈良先端科学技術大学院大学

2023年度活動レポート(一般公募プログラム)第065号 (Cコース)

超高齢社会における医用画像を用いた健康モニタリング医療AI技術の実践的研修

奈良先端科学技術大学院大学
教授 佐藤 嘉伸さんからの報告

 2023年9月6日から16日の日程で、奈良先端科学技術大学院大学(以下、奈良先端大)の海外協定校であるインドネシアのスラバヤ工科大学(以下、スラバヤ工科大)から学生10名(博士課程3名、修士課程7名)を、奈良先端大・情報科学領域・生体医用画像研究室に招へいし、医用画像の人工知能(AI)解析についてのプログラム演習を行った。4つの課題を設定し、スラバヤ工科大の学生は、4グループに分かれてAIの学習、精度検証実験を行い、最後に演習結果をスライドにまとめて、プレゼンテーションを行った。これらの演習に加えて、休日には、日本文化に触れる機会を持ち、スラバヤ工科大の学生と奈良先端大教員・学生との交流を深めた。

 来日に先立ち、来日前Zoomミーティングを2回(2023年8月9日と8月21日)開催し、スラバヤ工科大の学生から現在の研究内容やこれまでの勉学内容の紹介、および、奈良先端大からも研究内容の紹介と来日後の演習課題の説明を行った。演習課題として、(1)X線画像からの骨粗鬆症診断のための骨領域分離、(2)CT画像からの関節疾患重症度判定、(3)心筋病理画像の自動診断、(4)嚥下4D−CTからの嚥下器官の認識の4つの課題を説明した。これにより、奈良先端大側からは、スラバヤ工科大の各学生のプログラミングスキル、研究経験を把握することができ、課題の難易度を調整し、適切なグループ分けを行えた。来日までに慣れておいたほうがよいスキルを知らせることができ、スラバヤ工科大の学生は、来日に向けての準備をしっかり行うことができた。

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8月9日、8月21日に開催された奈良先端大とスラバヤ工科大の来日前Zoomミーティングのオンライン画面

 9月6日に関西空港に到着し、オリエンテーションを行った。翌日から、演習を開始し、4つのチームに分かれて、演習課題に取り組んだ。どの課題においても、AIの学習、学習されたAIによる結果の出力、得られた結果の検証と解析を進めた。日本は、超高齢社会であるが、インドネシアも経済発展と共に高齢化が急速に進んでおり、高齢化のスピードは、日本以上との報告もある。4つの課題は、高齢化に伴い重要性が増す疾患を扱っており、帰国後に、インドネシアのデータを使って、研究を進めることができることを想定した。各課題は、奈良先端大の学生がチュータとして密接に協力しながら進め、奈良先端大とスラバヤ工科大の学生間の交流が促進された。最終日9月14日に最終発表会を開催し、議論を深め、スラバヤ工科大学の学生全員に修了証を授与した。スラバヤ工科大学の学生の方々の得た結果の議論において、奈良先端大側も今後の研究について重要な示唆を得ることもでき、互いに得るものが大きく、連携関係が強化された。

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奈良先端大の教員・学生によるスラバヤ工科大学生の関西空港での出迎え
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左上:スラバヤ工科大学生の演習の様子、右上:最終プレゼンテーション
左下:奈良先端大の教員との議論の様子、右下:修了式

 休日には、奈良先端大の学生・スタッフと、奈良のお寺、京都の神社を観光し、親睦を深め、スラバヤ工科大学の学生は、日本の歴史と文化に触れことができた。最終日には交流会を開催し、最後に空港で見送った。研究教育面のみならず、友人としての友好関係も深め、今後の交流の良い基盤が形成された。

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上段:奈良先端大の学生・スタッフと奈良観光
左下:最終プレゼンテーション後の交流会、右下:帰国日の関西空港での見送り

 最後に、今回の有意義な交流の機会を作って頂いた「さくらサイエンスプログラム」に深く感謝いたします。