2023年度 活動レポート 第63号:香川大学

2023年度活動レポート(一般公募プログラム)第063号 (Aコース)

SDGs達成に向けた先進農学研究体験プログラム

香川大学からの報告

 2023年11月5日から11日の7日間、ベトナム、スペイン、英国、インドネシア、カンボジア、バングラデシュの6大学・研究所から10名の若手研究者(内訳:学部学生3名、大学院生2名、ポスドク2名、教員3名)が、香川大学農学部で実施されたA.科学技術体験コースのプログラムに参加しました。テーマは「SDGs達成に向けた先進農学研究体験プログラム」です。本コースでは、(1)農学系の研究教育施設、食品工場、農園の見学、(2)香川大学農学部研究室での研究交流を行いました。具体的な滞在日程は以下の通りです。

日 程 活動内容
11月5日 日本(関西空港)に到着、香川大学に移動
11月6日 香川大学インターナショナルオフィス表敬訪問、香川大学図書館の見学、開講式、香川大学希少糖生産ステーション見学、ラボツアー
11月7日 食品(ビール)工場の見学、みつばち農園の視察
11月8日 香川大学農学部研究室での実験実習及び研究室メンバーとの研究交流
11月9日 香川大学農学部研究室での実験実習及び研究室メンバーとの研究交流
11月10日 研修成果の発表会、閉講式、関西空港に移動
11月11日 関西空港から帰国

(1)農学系の研究教育施設、食品工場、農園の見学

 研究教育施設としては香川大学希少糖生産ステーションを見学しました。希少糖とは自然界にごく微量しか存在しない単糖のことです。代表的な希少糖D−アルロースには、血糖値の上昇や脂肪蓄積の予防効果が見つかっており、世界で注目されています。アメリカ、日本などで販売が開始されており、今後需要増加が期待されています。D−アルロースの製造方法の説明を加藤志郎准教授から受けました。

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希少糖D−アルロースの製造方法の説明を受ける参加者

 食品工場の見学はキリンビール(株)岡山工場で行いました。同社の主力商品である「一番搾り」の製造ラインを見学しました。同社の廣田氏から、素材として国産のホップを使用していること、発酵には一番搾りの麦汁のみを使用していること、輸出を含めた出荷状況、製造残渣の有効利用法、容器リサイクルの現状について説明を受けました。参加者は50万リットルのビール貯蔵タンクや最先端の製造管理システムを見て驚いておりました。

 農園の見学は(株)山田養蜂場のみつばち農園で行いました。同社の入口氏から、蜜蜂の生態や蜂蜜生産に用いられる花の種類、温室栽培のイチゴの受粉への蜜蜂の利用について説明を受けた後、巣板から蜂蜜を回収する作業を体験しました。

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山田みつばち農園で巣板から蜂蜜を回収する参加者

(2)香川大学農学部研究室での研究交流

 参加者10名は自分の研究に近い6つの研究室に分かれ2日間研究交流を行いました。研究室の教員や学生との意見交換、共同実験作業、互いの研究紹介を行うなどして親交を深めました。ヨネクラリナ研究室では2名の参加者が柿から機能性成分を抽出する実験を体験しました。

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柿からの機能性成分の抽出方法の説明を受ける参加者

 11月10日は今回の研修の成果を発表しました。研究交流に関わった教員や研究室学生約30名が発表会に参加しました。発表会に引き続き行われた閉講式でさくらサイエンスプログラムの修了証と記念品を受け取り、プログラムの計画を全て終了しました。今回のプログラムの参加者へのアンケート調査では、「滞在期間がもっと長かった方がよかった」との意見が多かったものの全員が日本のホスピタリティーの高さに満足して帰国しました。また、参加者のうち4名は香川大学に正規留学生として戻って来たいとの希望を持っていました。この交流が契機となり、留学生受け入れや研究者間の国際交流が活発になることが期待されます。実施にあたりご支援いただいたJST、施設見学を受け入れてくださったキリンビール岡山工場、山田養蜂場みつばち農園の皆様、並びに協力いただいた香川大学の関係教職員の皆様に深く感謝申し上げます。

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成果発表会でパワーポイントを使って発表する参加者