2023年度活動レポート(一般公募プログラム)第058号 (Aコース)
タイ、ベトナム、日本の学生による、
建築、環境工学、BIM、学際的手法、関連科学技術分野での研究・文化交流
島根大学からの報告
2023年10⽉23⽇から29⽇の間、島根⼤学総合理⼯学部建築デザイン学科のグエントラン・イエンカン助教のもと、マハサラカム⼤学(タイ)から5名(学⽣4名、教員1名)、とダラットヤーシン大学(ベトナム)から7名(学⽣4名、教員3名)を招へいし、1週間の建築デザインワークショップを実施した。本ワークショップは、島根⼤学建築デザイン学科の学⽣および教員と招へい者らが学術交流を行い、共に、建築デザイン、BIM(Building Information Modelling)を実⾏することで、環境的なシミュレーションの知識を深めることを目的とした。
島根⼤学内にある建物を利⽤し、現地調査や環境調査、計測を⾏った。プログラム前半の5⽇間は、講義とチームメンバー間の⾃由な討論と、2つの設計オプションを準備した。
後半では、学⽣たちはBIMソフトウェアを使⽤して設計モデルを構築し、光と⾳のパフォーマンスに関する設計ソリューションをテストした。シミュレーションモデルを実際の現場状況や環境影響の変動を考慮して構築することは、学⽣が解決策を導き出し、その結果に対応する提案を建物の外装の最適な性能に適応させるという、最も難しい課題である。各チームはワークショップの最終⽇に設計ソリューションを発表し、ワークショップがデザインの異なる側⾯や建物環境への影響を調べるためにどのように役⽴ったかを共有した。
このワークショップで課題になったのは、異なる国の学⽣が集まってグループを作ることである。⾔語の壁だけでなく、デジタルスキルやデザインアイデアの背景の違う者同志がグループになり、ワークショップを行うことは通常の⼤学の教育課程とは異なることである。コラボレーションのため、講師はいくつかのチームビルディング活動を設け、それぞれの学⽣が他のメンバーを知り、討論のための共通の基盤を⾒つける⼗分な時間を与える必要がある。教員および学⽣アシスタントは常に英語と共通のデザイン知識を使⽤してコミュニケーションを促進した。集中してワークショップに取り組み、直⾯した課題を乗り越え、学⽣たちは優れた成果を⽣み出すことができた。
学術交流以外の活動として、松江の歴史的な名所である松江城や⽇本庭園「由志園」などを訪れて、日本文化を体験した。日本の秋を十分に満喫することができた。また、島根大学の学生と日常生活を体験できたことは、招へい者らにとって大変魅力的なことだった。これらの活動によって、⽇本の⾼等教育に対する関心を高めたことと思う。
プログラム実施前には、参加する各⼤学の専⾨性を活かして、集中ワークショップの内容を向上させるために、教員間で会議を開催した。マハサラカム⼤学の学⽣はデザインスタジオで⽇常的に使⽤するBIMシステムを活⽤した実装において優れたカリキュラムを持っている。Yersin Da Lat Universityは、デザインを建物に具体化し、地元の素材と職⼈技術の利⽤を促進するパビリオンワークショップで有名である。⼀⽅、島根⼤学は環境パフォーマンスに強い関⼼を持っていることから、調査、測定、シミュレーションのさまざまな機会を提供することができた。このようなワークショップは注目を集めているが、地方大学ではまだ広く普及していない。島根⼤学で実施したのも初めてのことである。
建築デザインへの教育的な貢献は新たなマインドセットで、持続可能な開発と環境保護を意識した建築環境の改修に向けた先進的な⼈材の準備に向けた⼀歩である。私たちはJSTの⽀援を感謝している。さくらサイエンスプログラムの活動が今後も発展していくことを期待している。