2023年度 活動レポート 第55号:産業医科大学

2023年度活動レポート(一般公募プログラム)第055号 (Aコース)

産業医学の未来を拓く—インドネシアと日本の協力関係を構築する国際研修

産業医科大学からの報告

 産業医科大学は、さくらサイエンスプログラムの一環として、10月9日から10月15日までの期間、インドネシア国立大学医学部から大学院生8名、教員6名を含む14名のグループを受け入れました。このプログラムは産業医学の発展を促進し、インドネシアと日本の協力関係を深めることを目的としています。

<1日目>

 到着日。インドネシアからの参加者が夜に日本に到着しました。近隣のスーパーマーケットで食料品と日用品の買い出しを行い、日本の市場に初めて触れる機会となりました。

<2日目>

 午前中は学長への表敬訪問、国際センターによるオリエンテーション、および大学内施設の見学を行いました。特に、産業医学臨床センターや両立支援室、人工気候室、無響音室といった研究設備が注目されました。午後は、COVID−19流行下における労働者の健康管理、屋内環境の健康影響、労働者の個人健康情報の活用、化学物質管理と職業性中毒/がんの現状に関する講義と意見交換会を行い、活発な議論が展開されました。

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国際センターにて集合写真

<3日目>

 午前中は、日本における癌と心血管疾患の職業格差、および日本の産業医制度に関する講義を実施しました。また、床の滑りに関する実験を通じて高齢者向けの職場環境改善について学びました。午後は、労働衛生工学の紹介と酸化ストレスを中心とした職業性がんに関する講義が行われ、粉じん吸引の効果的なダクト形状についての実験を体験しました。

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実習の様子

<4日目>

 健康増進に関する講義と体力測定を行い、参加者の健康意識を高めました。午後は、興味のある研究室を訪問し、将来の共同研究について意見交換を行いました。

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講義の様子

<5日目>

 午前中に西日本産業衛生会を訪問し、日本の産業医学サービスの実態を視察しました。高年齢労働者の体力測定プログラムに参加し、転倒リスクの評価を学びました。巡回健診バスの見学を通じて、職場でのがん検診の重要性について理解を深めました。午後は、数年ぶりに開催された産業医科大学国際シンポジウム2023に参加し、インドネシアの医療デジタル化に関する講演が行われました。夕食時のウェルカムレセプションでは、日本文化の紹介として能やプロレスの披露がありました。

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高年齢労働者の体力測定プログラムに参加

<6日目>

 シンポジウムの2日目に参加し、別の招へい者が「インドネシアの産業医学におけるビッグデータ分析フレームワークの構築」に関する講演を行いました。また、大学院生全員がポスター発表を行い、そのうちの一人が「印刷作業員の慢性腎臓病と有機溶剤への曝露」に関する研究でポスター賞を受賞しました。

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ポスター発表の様子

<7日目>

 予定通りのプログラムを全て終了し、参加者はインドネシアへ帰国しました。本研修は、インドネシアと日本の産業医学専門家が実践的な知識と経験を共有し、両国の産業医学の発展に貢献するとともに、将来の共同研究や人的交流の基盤を築くことができました。

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国際シンポジウムでの集合写真