2023年度活動レポート(一般公募プログラム)第052号 (Aコース)
仙台高専のモンゴル高専専攻科体験事業について
仙台高等専門学校からの報告
9月24日から30日にかけて、モンゴル3高専(モンゴル工業技術大学付属高専、新モンゴル学園高専、モンゴル科学技術大学付属高専)から9名の学生と1名の教職員が来校しました。
【9月25日】
開校式とランチ形式での意見交換会が行われ、招へい者、本校の教職員のほか、本校の学生も参加し、学生同士で積極的に意見交換の交流が行われました。学生同士の交流では、日本のアニメや趣味の話など、お互いの文化的な交流も行いました。
同日の午後からは、キャンパスツアーを実施し、教室のみならず、工場や体育館など名取キャンパスの施設を見学しました。
【9月26日】
ロボティクスコース体験プログラムが行われ、専攻科の趣旨である学際領域の学問の音響学についての実験(部屋の残響時間の測定やその利用法)をしました。また、殆どの工業製品の生産過程において、商品化直前には音響測定が行われていることも説明を受けました。
同日の午後からは建築デザインコースの体験プログラムとして、東日本大震災で津波を受けた学校の見学から、復興した街並みの様子、計画などの説明を受け、海の無い国の学生たちは深く感銘を受けていたようです。
【9月27日】
マテリアル環境コースの体験として、材料のリサイクルの体験を行いました。体験授業では、現役の専攻科生が指導をしており、優秀な専攻科の学生がTAとして後進の指導にあたる様子なども間近に見て、ロールプレイモデルになったように思います。招へい者の中には、専攻科に進学する決意を固めた学生もおりました。
同日の午後からは、機械コースの体験プログラムとして、流体実験を行いました。流体実験は初めての学生ばかりで、非常に興味を持って取り組んでおりました。モンゴル高専においては、現時点でも実験設備が整っていないものが多く、特に機械系では流体実験設備などは現有していない様子でありました。
【9月28日】
生産現場体験プログラムとして、大崎地区を訪問しました。
キョーユー(株)では、精密機械の加工、精密金型の製作、自動化機械装置の製造について学びました。2018年の仙台高専の専攻科体験プログラムで来日後、本校専攻科進学・修了し、技術職として就職しているモンゴル高専の卒業生が対応してくれました。
昼には、大崎市長を表敬訪問し、市役所の関係者との懇談を行いました。大崎市はモンゴル出身の元横綱白鵬関が観光大使を務めているなどモンゴルと縁があり、市長から熱い歓迎の言葉を頂きました。
午後からは、2社目の明治合成(株)を訪問し、精密プラスチック部品関連の金型設計・製作・成形加工・塗装・印刷・組立の現場を体験しました。体験後には、ロボット化された生産ラインや制御プログラム等について、質疑応答を行いました。3社目の大研工業(株)では、金型製作、精密部品加工、各種自動機の設計製作の現場体験を行いました。体験後に同社での長期インターンシップ等について、質疑応答を行いました。
【9月29日】
企業インターンシップ体験プログラムとして、3名のモンゴル高専生を受入れている利府地区と泉地区の企業、日本の科学技術の体験プログラムとしてスリーエム仙台市科学館を訪問しました。
利府地区の(株)ジー・イー・エスでは、省力化生産設備、理化学機器の設計・製作に関連する各部門の現場見学を行いました。見学後、モンゴル高専OGから、日本の生産現場で働く際の日本語や日本文化の重要性について、自らの体験談も踏まえて説明がありました。
泉地区の日本ファインセラミックス(株)では、エンジニアリングセラミックス・エレクトロニクセラミックス・金属セラミックス複合材料等セラミックス材料の生産現場の見学・質疑応答を行いました。
夕刻には、モンゴル3高専と仙台高専をオンラインで繋いだ、ハイブリッド型の最終報告会・意見交換会・修了証書授与式を開催しました。
以上、7日間を通し、モンゴル高専の学生たちは、本校専攻科での先端教育プログラム、地域企業の生産現場を体験し、卒業後に、日本の専攻科への進学、企業就職のキャリアパスを描けたようであり、当プログラムの目的を果たせたと考えます。