2023年度 活動レポート 第49号:東京大学

2023年度活動レポート(一般公募プログラム)第049号 (Bコース)

環太平洋の地震・津波・火山噴火頻発域における災害軽減を目指した共同研究

東京大学地震研究所
教授 木下正高さんからの報告

 2023年8月19日から9月8日までの3週間、JSTさくらサイエンスプログラムにより、世界各国から12名(うち、4名は自費による招へい)の学生を受け入れ、インターンシッププログラムを実施した。順調にプログラムは終了し、学生および受入教員の双方にとって意義のあるプログラムとなった。

■到着~研究開始

 カメルーン、中国、インド、台湾、タイ、英国*、米国*、チリ*、マダガスカル*からの12名の学生たちは、8月19日に全員が無事来日、8月21日にオリエンテーション(古村所長挨拶、木下および国際室による地震研概要説明)および地震研究所ラボツアーを行った。(*は自費による招へい)

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オリエンテーション

 滞在中、学生たちは受入教員のもとそれぞれの研究に従事した。研究テーマは、「大気ネオン測定装置の開発:現地観測と将来の惑星探査への応用」、「黒潮の海洋波浪干渉モデリング」、「台湾MiDASにおける光ファイバー断層帯観測」、「南極ダルク氷河の地震データを用いた氷震震源探査」、「分岐断層沿いの破壊に及ぼす異なる物質による界面の影響」、「トルコ地域における応力変化と地震活動の時空間相関」、「海底加速度・傾斜計に記録された底層流と水平ノイズの相関」、「微動の波形イメージング」、「地震動が建物の構造応答に及ぼす影響」、「カメラ映像を使用した環境振動による構造物の変位」、「経験的グリーン関数を用いたマダガスカルおよび日本における中規模地震の地震動シミュレーション」、「カメルーン火山列北部の溶岩の主要微量元素分析」などであった。

■日本科学未来館見学(8/20)

 日本科学未来館を見学し、日本の最先端科学に触れる機会を得た。

■伊豆半島・伊豆大島巡検(8/27–28)

 伊豆半島・伊豆大島への巡検を行った。(今回のルート:8/27・小田原駅~根府川~大室山~伊豆長岡温泉(泊)、8/28・伊豆長岡温泉~丹那断層公園~火雷神社~熱海港~岡田港~三原山頂遊歩道~地層大切断面~東大火山観測所~岡田港~東京竹芝桟橋)
 新幹線で小田原駅に到着後、神奈川県温泉地学研究所の萬年主任研究員の案内で、関東地震(1923年)により崩落した根府川駅周辺、土石流により埋没した白糸川釈迦堂、供養塔がある岩泉寺を訪れた。その後、大室山にて、前野深火山噴火予知研究センター准教授が大室山火山に関する解説を行った。1日目の最後は、宿泊先にて萬年主任研究員より、箱根火山の形成史、及び、日本の温泉文化に関する講義を受けた。2日目の最初の訪問地は丹那断層・火雷神社で、現地ジオガイドの案内により北伊豆地震(1930年)がもたらした形跡を見学した。その後、熱海港より伊豆大島にジェット船で移動し、三原山頂遊歩道、地層大切断面、東大地震研究所伊豆大島火山観測所を訪れ、ジェット船にて東京・竹芝桟橋に帰京した。2日間の行程を通じて、研修生たちは過去の日本の甚大な震災を目の当たりにするとともに、日本の文化や 自然に親しみ、日本の地震・火山研究に触れる機会となった。

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根府川にて関東地震について聞く研修生たち
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丹那断層公園で説明を受ける研修生たち

■普段の研究風景

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地震研究所図書室で文献検索

 また、プログラム期間中の9月5日には東京で地震が発生した。多くの研修生にとって実際の地震を経験するのは初めてのことで、一様に緊張した様子であった。

■ポスター発表、修了証授与式(9/7)

 ポスター発表会にて研究の成果を発表し、続いて行われた修了証授与式にて地震研究所所長から修了証が授与された。

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修了証授与式にて

 参加者12名は、9月8日に3週間のプログラムを無事終了した。