2023年度活動レポート(一般公募プログラム)第045号 (Aコース)
高専生とタイ高校生の科学技術交流
小山工業高等専門学校からの報告
小山工業高等専門学校では、2023年10月1日~7日の間、タイ王国プリンセスチュラポーンサイエンスハイスクールムクダハン校の総勢10名を招へい者として迎え、研修を行いました。本交流は、2019年度から計画を進めていましたがコロナ禍により延期となり、2023年度についにさくらサイエンスプログラムの支援を受けて実現したものです。
【初日】
本校国際交流センター長の平田教授が成田空港で出迎えました。日付をまたいでのフライトであったため疲れもあり、午後の休憩時間に自席でうとうとする学生もみられました。滞在ホテルへの移動時は折悪しく豪雨となり、非常に印象に残ったとのことでした。
【学内での研修】
歓迎式では、タイの制服で登校し本校柴田副校長らの前で各々の自己紹介、および学校説明をしました。その後のキャンパスツアーでは、本校図書館で日本のコミック(英語版)や日本画画集を喜んで眺めたり、学内の工場施設や各学科棟の特色ある展示を興味深く見学していました。本校堀憲之校長との挨拶では引率者のMr. Chatcharanから御礼の挨拶をいただきました。
研究室訪問では、物質工学科の武教授から無機生体材料開発の説明を受けて電子顕微鏡で実際に観察したり、電気電子創造工学科の平田教授の研究室学生から英語で説明を受け、無響室で音の反響がなくなる体験をしました。また、本校ロボコン担当学生による高専ロボコンで活躍したロボットの説明やロボットの実演などを見学し、交流しました。
授業見学では、一般科の岡田准教授の英語授業や一般科のザイ助教の理科総合授業などで本校学生と一緒に授業に参加しました。いずれの授業も英語での意思疎通を基本とし、日本人学生が説明するお題をタイ学生がイラストにしたり、屋外で資料を手掛かりに実際の植物を判別するなど、学生同士が力を合わせて学ぶ経験をしました。
また、本校の学生が本年9月にムクダハン校で研修を受入れていただいた際にバディとなった学生同士でサポートし、授業や見学以外でタイ学生らとの交流を盛んに行いました。
小山高専内での最終研修日には、研修で学んだこと、感じたことなどを全員がスピーチ形式で発表しました。その後本校教職員、学生、同時期に研修を行っているタイ高専KMITL校の学生らとの意見交換会を開催し、日本およびタイ各学校の理解と交流を大いに深めました。
【学外での研修】
栃木県小山市に隣接する栃木市での文化観光では、「蔵の街」として知られる街並みを見学して日本の歴史を感じる風景を楽しむとともに、横山郷土館では明治時代の銀行および麻問屋の雰囲気を体験しました。
企業見学は、コマツ栃木工場および新エフエイコム株式会社の展示場(スマラボ小山)を見学しました。コマツ栃木工場では主に重機の生産をしており、生産ラインの見学や会社説明を通して、海外で広く活躍する日本企業の整然とした工場の様子を学びました。スマラボ小山では、物流や荷積み、お弁当を詰めるなどの高度な作業をこなす機械を見学し、最新の展示を見て楽しみました。
最後の研修では、茨城県つくば市で産業技術総合研究所サイエンス・つくばとJAXA筑波宇宙センターでツアー見学に参加しました。館内を案内してくれたガイドの方が驚くほどに真剣に話を聞いたり、質問をしたりしていました。置いてあった資料をたくさん持ち帰って今後の勉強に役立てたいと言っていました。
筑波から成田空港近辺へ移動し、最終日は無事に帰国の途に着きました。
【総評】
今回の研修の主な目的は同じ年代の本校学生との交流と日本の科学技術に触れることでしたが、本プログラムに参加した全員が初来日ということで、滞在中は日本の文化のみならず食事や生活、風景なども興味深く体験していました。タイ滞在中にバディとしてお世話になった本校学生らが、来日後はタイ学生らをサポートする側になり、ショッピングやカードゲームを一緒に楽しむ様子が印象的でした。
最後に、本プログラムの実施に際してお力添えを賜りました皆様に感謝申し上げます。また、本プログラムを支援して頂いたJSTに厚く御礼申し上げます。