2023年度 活動レポート 第34号:芝浦工業大学

2023年度活動レポート(一般公募プログラム)第034号 (Cコース)

東京デジタル・ヘリテージ ワークショップ

芝浦工業大学建築学部建築学科
教授 清水 郁郎さん、准教授 岡崎 瑠美さんからの報告

1.ワークショップ概要

 2023年7月26日から8月4日にかけて、エチオピアのアディス・アベバ大学EiABC(Ethiopian Institute of Architecture, Building Construction and City Development)の教員2名と学生9名、計11名が芝浦工業大学建築学部建築学科を訪問し、東京デジタル・ヘリテージ・ワークショップが開催されました。芝浦工業大学からは教員2名と学生21名が参加し、企業や研究者の方々にも訪問していただきました。レクチャー、演習、体験、ディスカッション等を通じて、建築遺産における3Dデジタルアーカイブについての知識を深め、将来の活用方法について議論が行われました。
 近年、アディス・アベバでは急激な経済発展と人口増加に伴い、多くの大規模再開発プロジェクトが進行しており、それに伴い建築遺産が取り壊されています。一方、東京でも土地の高度利用を目的とした高層オフィスビルやタワーマンションの建設が進み、歴史地区が取り壊しの危機に直面しています。このような両都市の現状を踏まえ、本ワークショップでは建築遺産を含む歴史地区を3Dデジタルアーカイブ化する手法やその活用方法を実践的に学びました。

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ワークショップ参加者

2.3Dモデル作成のレクチャーと演習

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左)写真撮影の様子、右)パソコン上で3Dモデルを作成

 フォトグラメトリーによる3Dモデルの作成についてレクチャーと演習を交えて実践的に学びました。カメラの設定や写真撮影の方法、ソフトウェアの使い方等、3Dモデルを作成するための一連の流れを体験し、フィールドワークに備えました。

3.3D実測演習(江戸東京たてもの園)

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「奄美の高倉」を撮影する様子
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学生が作成した「奄美の高倉」の3Dモデル

 江戸東京たてもの園では学生が4つのグループに分かれ、それぞれが一つの建物を担当し、カメラやレーザースキャナーを利用して3Dモデルを作成するためのデータ収集を行いました。その他に現地での図面の解読やスケッチを行い、建物を2Dおよび3Dで表現する方法について様々な手法を試しました。

4.グループワーク及び最終発表

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グループワークの様子
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最終発表の様子

 実測演習で収集したデータを加工し、建物の概要や考察をグループごとにまとめ発表を行いました。演習を通じて3Dデジタルアーカイブについて考えたこと、今後日本やエチオピアでの適用可能性と限界等について活発な議論が展開されました。

5.VR技術の体験(ZEXAVERSE TOKYO)

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左上)写真撮影の様子、右上)撮影した写真より3Dアバターを作成
左下)ゴーグル使用の歩行型VR機器でゲーム体験、右上)パソコン画面上でVRゲームの体験

 銀座にあるZEXAVERSE TOKYOで複数のVR体験をさせていただきました。130個の一眼レフカメラで人体を撮影しアバターを作成するサービスや歩行型VR機器を使用した3Dゲーム、パソコン画面上で操作するVRゲームを通じて建築遺産の3Dモデルの活用方法について考えました。

6. AR技術を使用したプロジェクト事例の紹介(株式会社ホロラボ)

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AR技術を体験する様子

 ワークショップ最終日は株式会社ホロラボの中村薫氏及び山田沙知氏よりAR技術を使用したまちづくりプロジェクトの事例紹介をしていただきました。テーブルの上に敷かれた地図上にあるQRコードをHoloLensやiPadを通して見るとARの建物が浮かび上がる画期的なツールも試させていただき、市民参加型まちづくりの新たな手法を学ぶ良い機会となりました。

7. 今後の展望

 今回のワークショップ期間中に芝浦工業大学建築学部及びアディス・アベバ大学EiABCとの間でMoUが締結されたため、今後も両大学間で交流を深めていきたいと考えています。今年の秋には今度は本学の学生がアディス・アベバ大学を訪問し現地のワークショップに参加する予定です。このような交流がまだまだ接点の少ない両国の学術及び文化交流の理解と促進に繋がることを期待します。