2023年度 活動レポート 第33号:大阪公立大学

2023年度活動レポート(一般公募プログラム)第033号 (Aコース)

カンボジア・王立プノンペン大学の学生が日本のICT最先端技術研修を体験

大阪公立大学現代システム科学域
准教授 林佑樹さんからの報告

 さくらサイエンスプログラムの支援を受けて、2023年9月11日から16日の日程でカンボジアの王立プノンペン大学(Royal University of Phnom Penh:以下、RUPP)の工学部に所属する学生9名と引率教員1名を迎え、システム発想型ICT最先端技術を体験する研修プログラムを実施しました。

【1日目】

 関西国際空港に到着後、本学中百舌鳥キャンパスに移動し、自己紹介を含んだ簡単なアイスブレイクやプログラムの全体説明を行いました。続いて、本学現代システム科学域の瀬田・林研究室が進めている知的学習支援システムに関する研究を紹介し、招へい者に開発システムを体験してもらいながら意見交換を実施しました。

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関西国際空港での集合写真

【2日目】

 関西エリア一帯の電力供給を支える最先端の大規模発電・制御施設を一日かけて見学しました。
 午前中は、関西電力送配電(株)の協力のもと、「中央給電指令所」を訪れました。この施設は関西エリアの電力需給状況を年中無休で監視・コントロールする重要な任務を担っています。巨大なディスプレイに映し出される様々な情報を前に、司令室の業務に関する活発な質疑応答が行われました。
 午後からは、関西電力(株)の協力を得て、液化天然ガス(LNG)の受入・貯蔵・気化・送出の業務を行う「堺LNGセンター」および、同施設から送出されるLNGに基づき電気を作り出す「堺港発電所」を見学しました。ジャンボジェット機が2機も収まる巨大LNGタンクや、ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせた最新鋭高効率で環境にも優しいコンバインドサイクル発電方式の仕組みについて、施設を回りながら学びました。

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堺LNGセンター見学の様子
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堺港発電所見学の様子

【3日目】

 午前中から午後にかけて、本学現代システム科学域の共生コンピューティング研究室(中島智晴教授・楠木祥文講師)、データ&システム工学研究室(佐賀亮介准教授)を見学し、人工知能の最先端技術を取り入れた知能ロボティクス研究や情報可視化・推薦技術などの研究内容を学びました。
 その後、学内の植物工場研究センターを訪問し、水耕栽培と水産養殖の組み合わせによるサステナブルな循環型農業設備(アクアポニックス)や、高効率LED照明システム、自動搬送装置が導入されたリーフレタスの大規模量産施設などを見学しました。
 同日夕刻、国際交流会館I−wing でRUPPとの交流を長きにわたり深めてきた辻󠄀洋大阪府立大学名誉教授(大阪府立大学前学長)とRUPPから本学大学院に留学している学生を交えた懇談会を実施しました。終始和やかな雰囲気の中で、招へい者の将来計画や夢が共有されました。多くの招へい者が日本への進学を希望しており、活発に情報交換が行われました。

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植物工場研究センター見学の様子
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懇談会

【4日目】

 午前中、ヤマトホールディングス(株)の協力のもと、最新の総合物流ターミナル「関西ゲートウェイ」を見学しました。ベルトコンベア上を高速で流れる膨大な荷物がスキャナーで瞬時に捉えられ、搬送先のシューターへ正確に移動させるクロスベルトソータの動きを窓越しに観察しながら、最先端の物流の仕組みについての理解を深めました。
 午後には、JR大阪駅に隣接するグランフロント大阪内の知的創造・交流の拠点「ナレッジキャピタル」を見学しました。施設のコミュニケーターに案内していただきながら、大小さまざまなオフィス、交流サロン、大学・研究所・企業の試作品が展示されている体験型スペースなどを、時間の許す限り見学・体験しました。
 その後は、本プログラムに携わる本学の学生らと大阪市内を巡り親睦を深めました。

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ナレッジキャピタル見学の様子

【5日目、6日目】

 午前中は、本学の高度人材育成推進センターの広瀬正特任教授によるプログラム「Effectuation Workshop —Enjoy your life with Entrepreneurship—」に取り組みました。本学の学生らとの混成グループを組み、各々のスキルや人脈をグループ内で共有した上で、グループならではのビジネスアイディアを考案し、ポスター形式で成果を発表しました。限られた時間でしたが、どのグループも斬新なアイディアが提案され、活発な議論が展開されました。
 午後からは、佐賀亮介准教授の主導のもと、共同研究企業((株)HEAVEN Japan)を訪問しました。そして、本さくらサイエンスプログラムの修了証を授与しました。
 同日夕刻からは、本学教員・学生を交えて意見交換会を実施し、RUPPと本学との持続的な交流を更に深めていくことが約束されました。
 6日目の朝に関西空港に移動し、名残を惜しみながら帰国の途につきました。

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ワークショップの様子

【まとめ】

 2019年度を最後にRUPPとのさくらサイエンスプログラムを実施 してから、コロナ禍を経て、実に4年ぶりに科学技術交流を再開することができました。この貴重な交流再開の機会を提供してくださったさくら招へいプログラム事業に、心から感謝申し上げます。また、本プログラムの成功のために、多くの学内の教職員、学生、そして関連企業の皆様からの温かい支援と協力を賜りました。この場を借りて、改めて深くお礼を申し上げます。今後も、さくらサイエンスプログラムを通じた継続的な人的交流が大きな力を生み出すことを願っています。