2023年度 活動レポート 第31号:福井大学

2023年度活動レポート(一般公募プログラム)第031号 (Aコース)

タイの高校生が繊維王国・福井で繊維の先端技術を学ぶ

福井大学アドミッションセンターからの報告

 2023年9月3日から9月9日まで福井大学アドミッションセンターはタイ・マハタイスクール(マハタイ高校)から生徒9名、引率教員1名を招へいし、繊維王国・福井で繊維の先端技術の体験と交流を行いました。招へいした高校生らは、すべてのプログラムに意欲的に取り組んでくれました。

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上田学長との記念写真

 一行は9月3日に中部国際空港に到着後、鉄道で福井に到着しました。4日の午前には国際課によるオリエンテーションを行い、上田学長への表敬訪問を行った後、早速、工学部の研究室を訪問しました。4日午後と5日の午前にかけて炭素繊維の成形プロセスの講義を受け、その後、炭素繊維の成形方法が炭素繊維の強度に対して、どのように影響を及ぼすかを明らかにするための実験を行いました。参加した生徒たちは事前に炭素繊維の特徴を予習しており、炭素繊維の実験に対する疑問などを担当教員や研究室の学生らに積極的に質問し、実験への理解を深めました。夕方には浴衣の着付けを行い、地元の仁愛女子高等学校を訪問して、茶室にて地元の高校生と抹茶を体験しました。生徒たちには日本の文化の体験も好評でした。

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炭素繊維の成形プロセスと強度の体験実習

 6日の午前には、タイに進出している地元の化学メーカー(日華化学(株))を訪問し、実際に日本のものづくり技術がタイでどのように製品化に繋がっているかを理解しました。日本における工業の発展や技術を垣間見ることができて感銘を受けた生徒が多かったようです。午後からは、繊維王国・福井の技術力を背景に水を使わず繊維を染色する超臨界染色技術の講義を受け、その後、超臨界染色における圧力や温度の違いが染色濃度にどのように影響を及ぼすかを明らかにするための実験を行いました。参加した生徒たちは将来の水不足問題に加え、廃水処理対策の面からも水を使わない染色方法の開発に強い関心を示し、実験を補助した本学学生に新しい染色技術について色々と質問をしていました。生徒たちの様子から実りある実験になったと思われます。

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超臨界技術による染色の体験実習

 7日の午前には、これまで国際会議で交流のある福井県立武生東高等学校に出向いて、日本の高校生と小グループに分かれて、与えられたテーマについて英語にてディスカッション等を行い、交流を深めました。同年代である同校の生徒との交流では、互いを理解し合う中で日本とタイ双方の生徒ともに強い刺激を受けていたのが印象的でした。午後には、福井を代表する文化施設:越前和紙の里を訪問して和紙すきを体験し、打ち解けた雰囲気の中で日本への理解を深めました。夜は学生食堂にて意見交換を行いました。本プログラムに協力していただいた教職員も参加して、今回の訪問を振り返りつつ楽しいひとときを過ごしました。

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日本の文化:和紙すきを体験

 8日の午前には、「さくらサイエンスプログラム」の成果発表会を行いました。参加した生徒たちは、本学での実験終了後、宿泊したホテルで実験結果を表やグラフにまとめ、発表のためのスライドを作成し、事前に英語で発表練習をしたことが分かりました。炭素繊維や超臨界染色の実験の成果やタイと日本の文化の違いに関して、グループ毎に得られた知見を基に成果を発表し、実験担当した教員から高い講評を受けていました。成果発表会終了後、修了式を行いました。

 9日に無事帰国の途につきました。招へい者の中には福井大学への留学を希望する生徒がみられました。本プログラムの修了生が日本とタイの国際交流促進の懸け橋となって活躍してくれることを切に願っています。

 本プログラムでは招へい者10名に加え、マハタイスクールの理事長、理事、日本語教師、英語教師が自費で参加しました。実際に、学校の責任者が本プログラムに参加したことによって、本学の教育・研究に対して理解を深め、しかも本学関係者と海外高大接続教育研究拠点の設置構想について意見交換を行い、留学のための基盤づくりが形成されました。
 最後に、マハタイスクールと福井大学の更なる交流発展の貴重な機会を与えていただいた本プログラム並びに催行へのご尽力を頂いた皆さまに深く感謝いたします。