2023年度 活動レポート 第29号:立命館高等学校

2023年度活動レポート(一般公募プログラム)第029号 (Aコース)

タイの高校生との科学技術交流~共同研究への発展を目指して~

立命館高等学校からの報告

 さくらサイエンスプログラムを通して、2023年7月23日~29日の7日間、タイの2つの高校、チットダラスクール(Chitralada School)とチュラロンコン大学附属中等学校(Chulalongkorn University Demonstration Secondary School)の生徒8人を受け入れました。本受け入れは本校生徒との研究の交流に加えて、立命館大学、大阪大学、京都大学などで最先端の科学技術について研修を行いました。本校生徒がバディとなり、ウェルカム企画、観光企画、フェアウェル企画を計画してタイの生徒との親睦を深め、今後長く続く友情を築けました。プログラムの内容は以下の通りです。

【7月23日】

 長時間のフライトの後、タイの皆さんが元気に関西空港へ到着し、バスで京都四条堀川のホテルへ移動。ホテルでオリエンテーションを行って嵐山へ移動し、昼食の後、バディ生徒と初めて対面しました。すでにオンラインで交流を行っていたので、すぐに打ち解け合い、小グループで交流しながら嵐山を散策しました。ホテルに戻って休憩したあと夕食をとり、祇園祭の後祭りで出ていた山鉾を見て初日を終えました。

【7月24日】

 この日は終日、立命館高校での取組です。東谷校長からの挨拶の後、バディ生徒と小グループに分かれキャンパスツアーを行いました。午後には、バディ生徒と一緒に化学と数学の融合授業でグラフを工夫しながら時計反応について一緒に学び、混合グループで楽しく交流し実験を行いました。授業の終了後、国際共同研究のグループは研究について議論しました。その間、他の参加者は数学のゲームで遊びながら交流しました。そのあと、タイの生徒3組が自分たちの研究について発表し、質疑応答を行いました。最後に本校のバディ生徒が企画したウェルカムパーティーを行いタイの生徒と仲を深めました。

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立命館高等学校で化学と数学の融合授業での様子

【7月25日】

 立命館大学びわこ・くさつキャンパスでの研修です。午前中は生命科学部生命情報学科の冨樫祐一教授より「Small Numbers and Minorities in Biological Systems: An Introduction to Computational Biology」について講義を受け、実験室を見学させていただきました。午後には、生命科学部の4つの学科(応用化学科、生命工学科、生命情報学科、生命医科学科)を回り研究室を見学し、現役の研究者の話を聞きながら研究設備を見学して大学での研究について知ることができました。その後は京都駅周辺でグループに分かれて散策して交流がどんどん深まりました。

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立命館大学生命科学部で研究室を見学

【7月26日】

 午前中はオムロンコミュニケーションプラザでオムロンの企業理念と歴史について学び、最新技術を体験しました。日本の企業で科学技術がどのように社会のために活用されているか学ぶことができました。午後には京都大学でRoger Wendell先生による「ヒッグス粒子の発見と新たな素粒子の探索」の講義を受講しました。その後は霧箱を作って、普段目に見えない宇宙線やβ線などの飛跡を自分の目で見ることができて、参加生徒が高い関心を示しました。講義の後は、夕食までいくつかのグループに分かれて、立命館の生徒を交えた観光および交流を行いました。

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京都大学でヒッグス粒子の講義を受講

【7月27日】

 午前中に大阪大学の蛋白質研究所で栗栖源嗣先生により蛋白質の先端研究について講義を受講し、蛋白質の発見の歴史、蛋白質の仕組みと役割、蛋白質の特定の仕方などについて学びました。そのあとは、研究室を見学して、NMRやX線結晶学の大型設備も見ることができました。大阪大学の食堂で昼食をとってから国立民族学博物館(民博)に移動しました。民博で小グループに分かれ、世界中の民族における文化と文明の発展について、展示物を見ながら学びました。小グループでEXPO CITYを回りながら交流してから晩御飯を食べ一日を終えました。

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大阪大学でタンパク質について講義を受け、研究室を見学

【7月28日】

 朝から金閣寺を拝観し、京都の文化に触れてもらいました。次に、立命館大学衣笠キャンパスで国際入学課の方から立命館大学における5つの英語で学べる学位プログラムについて説明がありました。最後に立命館高校へ戻り、国際共同研究チームがミーティングを行ったり、タイの生徒よりタイの遊びを紹介してもらったりして交流を深めました。本校生徒が企画したフェアウェルパーティーのあと、修了証の授与を行いました。最後のディナーパーティーで生徒が作成した思い出動画を流したり手紙を交換したりして、別れを惜しみながら、学校を出発してホテルへ戻りました。

【7月29日】

 朝からホテルを出発し、空港までお見送りして、帰国の途に着かれました。

 今回のプログラムによって、タイの2校と立命館高校との間の関係が深まり、今後の交流の発展に期待しています。素晴らしい機会をいただきましたこと、さくらサイエンスプログラムの関係者の皆さまに感謝申し上げます。