2023年度 活動レポート 第21号:熊本県水俣市

2023年度活動レポート(一般公募プログラム)第021号 (Aコース)

水俣病の教訓と地域の現状及び課題を理解し、環境問題について考える

熊本県水俣市からの報告

 水俣市では、2023年6月26日から7月1日までの6日間、シンガポール共和国(シンガポール社会科学大学)、台湾(国立台北科技大学)、タイ王国(カセサート大学)から10人の大学院生および大学教授等を招へいし、さくらサイエンスプログラム水俣研修を行いました。2019年度の実施以降、新型コロナウイルス感染症の影響で招へいを見送り、オンラインで実施をしておりましたが、4年ぶりの招へいとなりました。
 水俣市全体を学びのフィールドと見立て、市民、市内企業、団体など様々な方々から講師などご協力をいただき、参加者は水俣病の教訓と実情を正しく理解するとともに、環境問題や地域の再生・活性化への取組、水銀分析技術等を学び、小学校交流や紙漉き体験などを通じて、日本文化を体験しました。

[研修1日目:6月26日]

 福岡空港到着後、水俣市に移動し、水俣環境アカデミアでオリエンテーション、開講式を行いました。その後、水俣環境アカデミア古賀所長が「SDGs未来都市水俣市の概要、水俣環境アカデミアについて」講義を行いました。

[研修2日目:6月27日]

 午前は水俣市立水俣病資料館を見学、水俣病資料館副館長に展示の解説をいただきました。その後、熊本県環境センター 篠原館長に「水俣湾公害防止事業」の講義をいただきました。
 午後はエコパーク水俣(水俣湾埋立地)を見学、埋め立てられた土地の広さから被害の大きさを実感し、水俣病犠牲者慰霊の碑の前ではそれぞれが犠牲者へ思いを寄せました。その後、国立水俣病総合研究センターへ移動し、同センターの概要、胎児性水俣病患者の現状、地域貢献の取り組み、毛髪水銀濃度の測定、リハビリなどについて研修を受けました。

活動レポート写真1
水俣病犠牲者慰霊の碑で

[研修3日目:6月28日]

 みなまたエコタウン企業である株式会社アール・ビー・エス(し尿処理リサイクル事業)、アクトビー・リサイクリング株式会社(家電リサイクル事業)、株式会社田中商店(びんのリユース事業)を見学し、環境関連技術について学びました。
 その後、水俣市環境クリーンセンターを見学し、ごみの高度分別やリサイクルについて学びました。

活動レポート写真2
株式会社田中商店(びんのリユース事業)視察研修

[研修4日目:6月29日]

 水俣ダイビングサービスSEA HORSE森下代表から「水俣の海の再生」について講義を受けました。その後、水俣市立袋小学校を訪問、子どもたちから熱烈歓迎を受け、互いの国の紹介や、折り紙や昔遊び、習字の体験など異文化交流を行い、学校給食を体験しました。
 午後から、水俣浮浪雲工房において、紙漉き体験を行いました。その後、翌日の研修地である福岡市へ向かうため、水俣市を後にしました。

活動レポート写真3
水俣市立袋小学校にて異文化交流

[研修5日目:6月30日]

 いであ株式会社九州支店を訪問し、水銀測定・分析技術を学びました。その後、環境省九州地方環境事務所 上迫次長から「日本における環境行政概要」の講義をいただきました。
 午後からはグループワークを行い、本研修を通じて学んだことを大学ごとに発表し、研修を振り返りました。
 閉講式では、各研修生に対し、古賀所長を通じて国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)より修了証が授与されました。研修を終えた翌日、無事帰国の途につきました。

 参加者からは、「研修を通じて、水俣病の歴史や教訓を学び、水俣病の現状を知ることができた。」、「エコタウン訪問で資源リサイクルの様々なビジネスモデルを学ぶことができた。」、「小学校訪問での歓迎がうれしかった。人々がとても親切だった。」などの感想が聞かれました。