2023年度 活動レポート 第15号:千葉大学

2023年度活動レポート(一般公募プログラム)第015号 (Bコース)

前立腺癌国際共同研究 A−CaP(Asisan Prostate Cancer)study の連携強化

千葉大学からの報告

 2023年6月1日から6月21日の21日間、マレーシア・マラヤ大学医学部のLIM Jasmine先生がさくら招へいプログラムの支援を受けて来日し、千葉大学大学院医学研究院泌尿器科学研究室で、臨床面での交流・検討に関する共同研究を行いました。LIM先生はマレーシア出身のベテラン医師で、特に前立腺がんの診断と治療に関して豊富な経験と深い研究をされており、前立腺がんの汎アジア研究に貴重な交流の機会を与えてくれました。

 招へい期間中、LIM先生とはワークショップを重ね、前立腺がんの診断・治療に関する日本の先進的な技術や実績を共有し、同時にマレーシアの現状や医療モデルについても学ぶことができました。LIM先生との意見交換を通じて、我々は両国の医療分野における異同を深く認識するとともに、今後の共同研究協力のために有益な知見を得ることができました。

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千葉大学医学部附属病院ガーネットホールにて、LIM先生の講演

 LIM先生の豊富な経験の発表だけでなく、臨床研究の検討や協力も行いました。マラヤ大学医学部チームの最新研究成果と千葉大学の前立腺がん研究成果を互いに共有し、また、前立腺がん研究の課題もいくつか共有しました。そして、解決策についてのディスカッションを通じて研究交流を一層深めました。このような学術上の協力は、両国の医学分野の進歩にとって重要な意味を持っています。

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千葉大学泌尿器科の坂本信一准教授や若手医師達と記念撮影

 今回の招へいでは学術交流だけでなく、多彩な文化体験も行いました。これらの活働はLIM先生に日本の独特な魅力を感じていただき、両国の文化交流と相互理解を促進しました。

 6月10日にLIM先生は成田山新勝寺を参観し、日本の伝統的な宗教文化の荘厳さと重厚さを体験しました。成田山新勝寺は、天慶3年の開山以来、三重塔や光明堂、釈迦堂など、有名な重要文化財が数多く残っており、見学したLIM先生は、その圧倒的な迫力に驚きながらも、日本文化の興味深い仏教の故事や民俗の歴史にとても感銘を受けるなど、さくら招へいプログラムを通じて文化交流を促進することができました。

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LIM先生に同行したメンバーと共に、新勝寺大本堂の前で撮った写真

 また、6月17日には国立歴史民俗博物館を訪れ、LIM先生と一緒に日本の長い歴史と民俗伝統を学び、日本文化に対する理解と認識を深めました。館内スタッフによる丁寧な説明を受け、歴史的な遺物の姿を楽しみながら伝統的な日本の民俗にも触れることができました。LIM先生の満面の笑みで喜ぶ姿が印象的でした。

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国立歴史民俗博物館にて記念撮影

 日本は、科学技術の発展をグローバルな視点で捉え、自国だけでなく世界のために努力しています。そして、アジアの国々と協働して、科学技術の普及を推進する重責を担っています。JSTさくら招へいプログラムは、様々な背景を持つ海外の研究者に、日本で学び、研究する機会を与えてくれました。

 そしてLIM先生には、日本の貴重な知識や文化を技術の発展やイノベーションの未来のためにどのように活用しているのかを学んでいただきました。この経験を自国の輝かしい未来のために活かしていただき、日本と協力し合い多様性を尊重した素晴らしい世界を築いて頂きたいと思います。

 最後になりましたが、本プロジェクトを実施するにあたり、多くの方々にお世話になりました。この場を借りてお礼申し上げます。また、本プロジェクトをご支援いただいたJSTに深く感謝申し上げます。千葉大学は引き続き、国際的な教育研究活動に力を入れて参ります。