2023年度活動レポート(一般公募プログラム)第010号 (Aコース)
オミックス医療・研究・育成プログラム
和歌山県立医科大学からの報告
和歌山県立医科大学(和医大・医学部)は、JSTさくらサイエンスプログラムの支援を受け、2023年7月26日~8月1日までの7日間、国立台湾大学・薬学部から7名、台北医学大学・医学部から3名の計10名を招へいしました。招へい者はメタボロームやプロテオームのオミックス計測技術に関する研究をしている大学院生8名と、教員2名(郭錦樺教授・蔡伊琳准教授)です。滞在期間中に、和歌山県立医科大学・医学部・薬学部、島津製作所(京都市)で、オミックス計測技術を駆使した疾患メカニズムの解明を目指し、見学と討議・交流を行いました。
【1日目】
台北桃園国際空港から関西国際空港に昼過ぎに到着し、JRを利用して和歌山駅まで移動しました。駅前のホテルにチェックイン・荷物を預けた後に、本計画全体の詳細なオリエンテーションおよび注意事項の説明を行いました。夕食歓迎会には、和歌山県立医科大学・医学部5年生の中国語が堪能な2名の学生が、臨床実習の合間を縫って参加しました。
【2日目】
和歌山市内からJR在来線・特急はるかを乗り継いで、日本の精密機器・計測器・医療機器開発のトップメーカーである島津製作所の本社・三条工場(京都市)を見学しました。会社概要の説明後、「サイエンスプラザ(分析機器紹介)」、「メディカルセンター(医用機器紹介)」、「HPLC, GC−MS, LC−MS, 分光光度計等の分析機器の組み立て工場」を見学し、オミックス計測に必須な最先端分析技術の開発・製造現場を肌で感じる事ができました。
その後、島津製作所の御厚意でタクシーを手配して頂き、島津製作所・創業記念資料館に移動しました。創業記念資料館は木造2階建ての建物であり、創業者である島津源蔵氏が居住し、約45年間、本店として使用した歴史ある建物です。蓄電池の製造・医療用X線装置の開発・日本初のガスクロマトグラフ・各種黎明期の計測機器等の展示を拝見し、日本企業の科学技術の奥深い歴史を体験しました。
【3日目】
和歌山県立医科大学・薬学部を見学しました。その後、生薬天然物化学の田村理教授の研究室で合同セミナーを実施し、下記のとおり講演を行いました。
- 氏家和紀助教(和歌山県立医科大学)
「Structure revision of pinofuranoxin A through the total synthesis of stereoisomers」 - 郭錦樺教授(国立台湾大学)
「Oxidative stress is a signature for VCZ−induced hepatotoxicity」 - 蔡伊琳准教授(台北医学大学)
「Molecular characterization antibodies by using mass spectrometry based methods」
講演後には、オミックス計測技術の現状や疾患メカニズムの解明について議論を行いました。さらに国立台湾大学および台北医学大学の大学院生(8名)全員がショートプレゼンテーションを実施し、活発な意見交換を行いました。
【4日目~5日目】
吉野山(奈良県吉野郡吉野町)を訪問しました。吉野山は日本さくら名所100選に選定され、「紀伊山地の霊場と参詣道」としてユネスコの世界遺産に登録されています。吉野山の中心に位置する金峯山寺は修験道の聖地であり、今回のメンバー全員で、金峯山寺での夕座勤行に参加し、身も心も清められた。
【6日目】
和歌山県立医科大学・医学部を訪問しました。和歌山県立医科大学附属病院バイオバンク・中央検査部(大学病院)、がん遺伝子検査外来等を見学し、和歌山県立医科大学内のオミックス医療の現状を認識して頂きました。
【7日目】
関西国際空港から帰国されました。台風の接近で帰国に関して危ぶまれましたが何とか台北に無事帰国できたので安心しました。