2023年度 活動レポート 第9号:九州大学

2023年度活動レポート(一般公募プログラム)第009号 (Aコース)

トルコ、ヨルダンの高校生がバイオテクノロジーの最先端研究と日本文化を体験

九州大学からの報告

 九州大学は、JSTさくらサイエンスプログラムに採択され、令和5年7月2日から7月8日までの7日間にわたりトルコのMEFインターナショナルスクール、ヨルダンのキングスアカデミーの高校生7名と引率教員2名を招へいしました。今回のプログラムでは、両国でも関心の高いバイオテクノロジー分野の研究室訪問を通じて日本の最先端の研究を体験してもらうこと、また日本の高校生との交流や日本文化体験を通じて、将来的に日本留学の布石となる機会を提供することを目的としています。

■オリエンテーション

 プログラム初日は、九州大学伊都キャンパス日本ジョナサン・KS・チョイ文化館で開講式を行い、清水 周次副理事による挨拶のあとプログラム実施主担当者である沖 祐太郎特任准教授から全体スケジュールや注意事項等を説明しました。トルコとヨルダンの学生たちは、この日がお互い初対面ということもあり、始めは緊張した面持ちでしたが、歓迎会が終わる頃には、すっかり打ち解けていました。キャンパスツアーでは、石ヶ原古墳跡展望展示室や中央図書館を訪れました。図書館では、七夕のイベントが開催されており、学生達は短冊に願いごとを記す七夕飾りにも挑戦していました。

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九州大学キャンパスツアー

■福岡市立福岡西陵高等学校を訪問

 7月4日は、国際教育に力を入れている福岡市立福岡西陵高等学校を訪問しました。芸術クラスの授業では、西陵生と一緒に書道を体験する機会を得ることができ、参加学生達は思い思いに筆を走らせていました。続く英会話クラスでは、学生たちがトルコ・ヨルダンの紹介を行い、日本の高校生達とのディスカッションを行いました。同世代の学生が交流する中でお互いの文化の違いや高校生活の違いを知ることができ、トルコ・ヨルダンの学生、西陵校生双方にとり貴重な機会となったようです。

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福岡西陵高校でのランチタイム

■多様な視点からバイオテクノロジー

 7月5日からの3日間は九州大学を訪問し、農学研究院、工学研究院、総合理工学研究院の研究室を訪問しました。最初の訪問先となった農学研究院では、ダグラス・ドラモンド教授による講義「Can we feed the world and still save the planet?」にて、世界の食糧資源の推移と現状をバイオサイエンス、バイオテクノロジーの観点から説明して頂きました。午後の実習講義では、ドラモンド教授から実習課題である「脂質の精製と分析」に関する説明を受けたあと、農学部国際学生コースの学生とともに、実際に卵黄と牛乳から脂質を分離し、薄層クロマトグラフィーを用いて脂質の成分を分析する実習に取り組みました。

 工学研究院では、応用化学部門の片山 佳樹教授による講義「自己免疫疾患および癌治療のための分子ナノシステムによる免疫制御」で、免疫学の基礎知識から最先端の研究まで幅広く紹介いただきました。研究室訪問では、博士課程に在籍中の学生と質疑応答を行いながら化学実験や細胞実験の様子を見学し、医工連携の視点からバイオテクノロジーを捉える良い機会となりました。最終日は、総合理工学研究院 オサマ・エルジャマル准教授の研究室を訪問し、廃水を用いた水資源管理に関する研究や微生物燃料電池(MFC)に関する研究紹介を行いました。自国で水資源管理や持続可能エネルギー関連のセミナーに出席した経験を有する参加学生も多く、活発なディスカッションが行われました。

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農学部での実習

■成果報告会

 成果報告会では、「日本の学生達が社会貢献を意識して進路選択していることに感銘を受けた」「研究室には最先端の機器が揃っていた」「将来の進路に迷いがあったが、研究室訪問でナノテクノロジーに興味を持ったので九州大学に留学したい」「日本食になじめず食事に苦労した」など様々な声が聞かれました。
 本プログラムを通じて、バイオテクノロジーが社会課題解決にどのような役割を果たしているかを学ぶとともに、同世代の学生との交流を通じて、アニメ・漫画で描かれている日本とは違う「日本」を知ることができた様子でした。

 今後も日本の科学技術・文化を実践的に体得できるプログラムを継続的に提供できるよう国内外の教育機関との連携を進めていきたいと考えています。

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成果報告会を終えて