2023年度活動レポート(一般公募プログラム)第005号 (Aコース)
インドの大学院生が研究と文化を通して体験した初めての日本
静岡大学 教授 池田 浩也さんからの報告
さくらサイエンスプログラムのご支援をいただき、2023年7月11日から17日まで、インド情報・設計・生産技術大学カンチープラム校から教員1名と大学院生9名を、静岡大学浜松キャンパスに招へいしました。今回来日した10名は、全員が初来日でした。
コロナの関係で中部国際空港のフライトが縮小されていたため、プログラムを予定通りの日程で遂行する都合上、関西国際空港にて入国することになりました。長時間のフライトで疲れている彼らにとってはかなり遠回りをさせられてきつかったかもしれません。しかし、そのおかげで初めて新幹線に乗車する機会ができたので、逆にうれしい体験になったと思います。
キャンパス訪問初日(7月12日)は、本プログラムのオリエンテーションを行った後、早速、工学部の研究室を訪問しました。午後には本学施設である浜松キャンパス共同利用機器センターを見学し、夕方には福田・工学専攻長(学部・修士課程)、原和彦・光医工学研究科長(博士課程)から各部局の紹介をしていただきました。
翌日(7月13日)は、まず浜松キャンパス内にある高柳記念未来技術創造館を見学し、その後、原正和・創造科学技術大学院長(博士課程)から部局の紹介がありました。また国際交流推進機構を訪問して、静岡大学における国際交流に関する説明を受けました。今回の招へい者の中には電子デバイスの医療応用を研究している修士学生もいて、熱心に光医工学研究科について質問していました。インド情報・設計・生産技術大学カンチープラム校と静岡大学は現在、大学間協定の締結に向けた手続きを進めているところで、これまでに修士課程に1名の学生が入学しただけで、博士課程にはまだ入学していません。今後、彼が静岡大学の博士課程進学を希望してくれると、それに続く学生が期待できます。
これまでの博士課程学生の所属が、主としてデバイス応用に向けた材料科学分野の教員の研究室という経緯もあって、本プログラムでの研究室見学は工学部電子物質科学科の研究室を訪問しました。今回は訪問する研究室の数を減らして、単なる装置の見学ではなく、教員から研究内容の説明を直接受ける時間を十分に設けました。どういった観点から何を目指してどのように実験を進めているかを理解してもらうための試みでしたが、彼らの様子から実りある訪問になったと思われます。
7月14日に行った両大学の学生によるワークショップでは、学生たちと教員による活発な議論が行われました。お互いの研究内容をより深く理解できるとともに、分野の異なる研究発表もあり、大いに刺激を受けました。
翌日(7月15日)は、方広寺で日本の文化に触れた後、ヤマハイノベーションロードとスズキ歴史館を見学して、日本の代表的な企業の歴史を学びました。日本における工業の発展や技術を垣間見ることができて、感銘を受けた学生が多かったようです。夜はインド料理店にて意見交換会を行ないました。研究室見学に協力していただいた教員も参加して、今回の訪問を振り返りつつ楽しいひとときを過ごしました。
キャンパス訪問最終日(7月16日)は、研究室見学をした後、今回の訪問についてレポートを作成してもらいましたが、参加した学生にとって大変意義深い経験になったようです。近い将来、留学生・研究者としてぜひ日本に戻ってきてほしいと思います。
最後に、インド情報・設計・生産技術大学カンチープラム校と静岡大学のさらなる交流発展の貴重な機会を与えていただいた、さくらサイエンスプログラム並びに催行にご尽力いただいた皆さまに深く感謝いたします。