2023年度活動レポート(一般公募プログラム)第003号 (Aコース)
生命科学分野からウェルビーイングに貢献する人材を育成する研究交流プログラム
立命館大学生命科学部からの報告
2023年6月22日~6月28日の期間、蘇州大学(中国)、プトラ大学(マレーシア)、インド工科大学ハイデラバード校(インド)、フリンダース大学(オーストラリア)、アンジェ大学(フランス)の計5大学から9名の学生と1名の引率者を立命館大学生命科学部・研究科へ招へいしました。本研究科は2022年度に文科省より国費優先配置特別プログラム「バイオものづくりを通してウェルビーイングに貢献する研究開発人材の育成」の採択を受けており、今回の交流計画ではウェルビーイングをテーマとしました。
【在校生との交流】
1.在学留学生による日本生活紹介本研究科在学中の留学生が大学での研究、日本での生活について紹介しました。これから始まる日本での滞在の参考になり、今後の日本留学にも興味を持ってもらえる内容になりました。
2.日本語授業講師を招き、日本語授業を行いました。前半では自己紹介の仕方、後半では会話で使える形容詞を学びました。最後に日本人学生TAとともに形容詞の○×クイズ、かるたゲームを行いました。招へい者は日本語に興味を持つと同時に在学生との交流を深めました。
【ウェルビーイングについての学び~里山資源循環プロジェクト】
1.事前講義本研究科久保幹教授による講義を受け、日本が抱える食糧問題、環境問題等について知り、物質循環の理論を学びました。
2.フィールドワークキャンパスに隣接する里山に移動し、実際に本研究科にてプロジェクトが実践されている現場でフィールドワークを行いました。里山で作られる資源を利用した農作物の有機栽培、山林管理や農地管理による下流の池の水質改善などを学びました。
フィールドワークを終えて、日本人学生TAとともにグループディスカッションを行いました。物質循環の促進がどのようにウェルビーイングに関わっているか、また、自分の研究がウェルビーイングにどのように貢献できるかについて活発な意見交換を行いました。
京都にて着付け体験と茶道体験を行いました。日本の伝統文化の歴史を知り、それが日本人のウェルビーイングと古くから深く関わっていることを学びました。
招へい者は、日本の里山の環境を活かした農業、牟礼山頂から見える琵琶湖や、美しい日本の四季のある風景、着物・茶道文化や歴史を目で見て体験することで、日本のウェルビーイングについて学びました。また各招へい者の出身国と比較して意見を交わし、多様な価値観に触れ、様々な視点からウェルビーイングについて考えを深めました。
【今後の協力関係の構築に向けて】
1.研究室訪問招へい者は研究分野の近い3~4の研究室を訪問しました。研究室では、指導教員が研究室の研究内容の紹介、研究機器や設備の説明を行いました。招へい者に卒業後の進路としての日本の大学院進学に興味を持ってもらう機会となりました。
引率者の蘇州大学国際担当職員と本研究科長、国際担当副研究科長と国際担当職員にてミーティングを行い、推薦入試協定と特別研究生交換協定の締結について協議し、合意に至りました。今後双方向での受け入れの促進と協力関係の強化を約束しました。
【修了式】
最終日の修了式では、招へい者それぞれが自国の文化紹介と本プログラムで体験したことや学んだことについて発表しました。本プログラムで交流した在学生や教職員も参加し、最後に意見交換会を行いました。プログラムの最後に、学部長より修了証書が授与されました。
【今後の展望】
今年度は過年度のノウハウを活かし、新たな国・地域の大学から学生を招へいしました。プトラ大学においては夏期留学プログラムを実施することが決定し、来年度第一回目の学生派遣に向けて計画中です。蘇州大学とは、推薦入試協定、特別研究生交換協定を締結することで合意しました。IITHでは本研究科教員が8月に研究紹介企画に参加することになり、フリンダース大学、アンジェ大学とも協力関係を構築するきっかけとなりました。
招へい者への終了後アンケートでは、「プログラムを通して将来の共同研究に対する興味が沸いたか」という質問、およびプログラム満足度に関する質問に対して、肯定的回答が100%に達しました。招へい者の数名は、すでに来年度からの正規留学生としての入学意思を示しています。
JSTをはじめ、本プログラム実施にあたり多大なるご協力・ご支援いただいた皆様に心より御礼申し上げます。