2023年度 活動レポート 第2号:ひろしま国際センター

2023年度活動レポート(一般公募プログラム)第002号 (Aコース)

フィリピンの高校生が広島で多面的に科学を体験

ひろしま国際センターからの報告

 公益財団法人ひろしま国際センターでは、「さくらサイエンスプログラム」の支援の下、フィリピンの中でも理科系の基礎学力が最高レベルにあるフィリピン科学技術高等学校(PSHS) から高校生9名と引率者1名の計10名を招へいし、令和5年6月12日から6月17日までの6日間のプログラムを実施した。
 プログラム内容は、池田 秀雄広島大学名誉教授の監修の元、科学実験や実習などに重点を置き、最新の廃棄物処理施設の見学や天文学・農学・生物学・物理学など、多面的に科学を学習する体験を提供した。また、広島平和記念公園訪問を通して、核兵器が人体や建物に及ぼす影響を学び、科学技術を世界中の人々の幸福のために使うことの大切さについて再認識するよう促した。広島大学のキャンパスツアーと意見交換会では、在学中のフィリピンからの留学生との交流会をすることで留学を促進した。さらに、広島大学附属福山高等学校での同世代交流により、双方の国際感覚の養成、今後の継続的交流のきっかけを作った。

【6月13日】

 広島大学総合科学部国際共創学科(IGS)を訪問し、生物と物理の講義・実験を体験した。
 IGSの学生によるキャンパスツアーや意見交換会では、キャンパスライフを直接見聞きし、日本への進学に対して一層意欲的になっていた。参加したIGS学生の中には、これからフィリピン大学に留学する日本人学生がおり、双方にとって有益な情報交換の機会となった。
 また、日本文化理解の一環で、浴衣の着付け体験も実施。自分で帯を締めて、和装を楽しんだ。

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生物の講義・フィールドワーク
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物理の講義・実験

【6月14日】

 広島大学附属福山高等学校を訪問した。まず、高1物理基礎と高2生物基礎の授業に参加し、同校生徒と一緒に計算・実験をした。有志生徒との昼食会では食べるいとまもないほど、会話に花を咲かせ、折り紙などのワークショップでさらに親睦を深めた。さらに、高校1年生全員(約200名)との交流会では、文化・学校紹介のプレゼン発表を介して互いの文化を学びあった。
 夕食には、日本文化理解の一環で、広島風お好み焼き作りを体験し、おいしく楽しく広島の鉄板焼き文化・お好み焼き文化に触れた。

活動レポート写真3

【6月15日】

 東広島の4つの施設を訪問し様々な分野における科学を学習した。広島中央エコパークで、最新のごみ処理施設見学→広島県立総合技術研究所 農業技術センターで、AI等を利用した農業技術の講義・収穫体験→独立行政法人酒類総合研究所で、酒・ビール・ワインの違いなどを科学的に学習→広島大学宇宙科学センターで、4次元デジタル宇宙を体験後、『かなた望遠鏡』で火星・金星・アルビオンなどの天体を観望した。それぞれの興味のある分野に触れ、フィリピンが抱える問題や課題を真剣に考える姿が印象的だった。特に、フィリピンではごみ問題が深刻かつ身近な課題であり、広島中央エコパークの埋め立てごみの出ない最新のごみ処理技術には関心が高かった。また、科学的な面だけでなく、日本政府の科学技術発展への投資に対して、その有益性を考えるなど政治的視点に関心を寄せる点も印象的だった。

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農業技術センターでのAI等を利用した農業技術の講義

【6月16日】

 平和記念資料館・平和記念公園で平和学習後、宮島を訪問し、日本の神社建築見学、参拝体験を通じて日本文化を体験した。戦争や原子爆弾の悲惨さについて改めて学び、平和な世界の実現に向けて考える機会となった。また参拝作法や建築技法を事前学習し、意味合いや大切さを知ったうえで、厳島神社を訪問したことで、より深く文化の大切さや保存の意味を感じ取っていた。
 その後、夜のFarewell Party兼修了証書授与式では、池田先生から修了証書を激励とともに授与され、プログラムを振り返った。フィリピンを研究し精通されている広島大学IGSの関先生も参加され、改めて日本への留学や今後の交流について話していただいた。

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宮島にて

【6月17日】

 福岡空港まで見送り、プログラムを無事終了した。本プログラムは、日本の科学技術の体験や留学促進のみならず、交流を通じて、互いの文化に対する関心や理解を高めるきっかけとなる、有意義なものになった。この活動を行うに当たり、ご支援下さいました受け入れ機関の皆様並びにJSTさくらサイエンスプログラム関係者の皆様に、心よりお礼申し上げます。

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福岡空港にて