2022年度活動レポート(一般公募プログラム)第184号 (Aコース)
がんに対する光線治療・診断を体験する
高知大学医学部光線医療センターからの報告
高知大学医学部光線医療センターでは、2023年3月8日~3月13日、マレーシアサインズ大学/マレーシアプトラ大学から教員2名/大学院生6名を招へいし、A.科学技術体験コースのプログラムを実施しました。光線医療センターの見学や病院長への表敬訪問のほか、高知の医療状況やマレーシアの基礎研究を含めた医療状況についての意見交換を行いました。
<3月9日>
午前中は光線力学医療に関する特別講演を東京工業大学小倉俊一郎先生に実施して頂き、光線医療への理解を深めました。午後からは手術支援ロボット「ダヴィンチ」を用いた手術見学、およびALA−PDD(膀胱癌)を用いた手術見学を実施し、臨床の最先端医療について理解を深めました。実際の手術をリアルタイムに見学し、医療をより身近に感じる事が出来たことで、イメージング技術を用いた医療に対する基礎研究のモチベーション向上に繋がりました。また、皆で光線医療の実臨床の最先端の技術を見学し、現在の問題点と将来の展望について討論を行いました。
<3月10日>
Photodynamic Medicine(PDM)salonを実施。各々の研究成果を一人ずつプレゼンし、意見交換を行いました。多くの質問が投げかけられ、終始活発な意見交換となりました。具体的には、新規光感受性物質に関する発表や今後の動物実験の予定などが討論され、これまで以上に研究内容の理解を深める事ができました。さらに共同研究の進捗状況についても確認し、今後も研究を継続する事を確認しました。光線力学医療の臨床への応用に向けた取り組みについての意見交換は大変有意義なものとなりました。
<3月11日>
本学医学部生の指導により華道・茶道を体験し、日本文化への理解を深めました。皆さん初めての体験でしたが、熱心に指導を受け、上手に花を生けていました。生けた花と共に記念撮影もあり、喜んで頂けました。医学部生と密に交流ができたことは、双方の若者達にとって良い刺激となったようです。
さくらサイエンスプログラムを通じて、マレーシアの学生に日本の光線医療の研究環境および素晴らしい日本文化を体験して貰えたと思います。また、医療における光線技術の重要性および将来性についての理解が深まり、基礎研究から臨床応用への流れをより身近に感じる事が出来たと思います。さらには、日本の光線医療における最先端医療をマレーシアの基礎研究者が実際に体験したことは、今後の研究モチベーションの向上に繋がったと確信しています。特に大学院生にとっては、研究を通じてさらなる飛躍となる体験となったのではないでしょうか。
今回の交流が、マレーシアサインズ大学、マレーシアプトラ大学および本学にとって、非常に意義深く、大きな刺激になったことを実感しており、今後の研究および教育に大いに期待が持てると確信しています。我々にとっても、COVID−19により、一旦途絶えていた対面での交流を再開できる良い機会となりました。対面での交流は、オンラインで実施するより多くの意見や情報交換ができ、改めてその重要性を実感することができました。
今回このような貴重な体験を行う機会を頂き、また丁寧な対応をして頂いたJSTさくらサイエンスプログラムの関係者の皆様と御協力いただきました皆様に心より感謝申し上げます。どうもありがとうございました。