2022年度 活動レポート 第182号:秋田大学

2022年度活動レポート(一般公募プログラム)第182号 (Aコース)

航空機電動化の最先端と雪国秋田を実感できる交流プログラム

秋田大学理工学研究科附属
クロスオーバー教育創成センター長
足立 高弘さんからの報告

 令和5年3月上旬に、マレーシア日本国際工科院の10名の学生さんと引率の先生1名を対象に5日間のさくらサイエンスプログラムを実施した。マレーシア日本国際工科院(MJIIT)は、マレーシアに日本型工学教育を確立することを目的に、マレーシア政府および日本政府の共同事業として、クアラルンプールにあるマレーシア工科大学(UTM)クアラルンプールキャンパス内に設立された教育機関である。この度の交流計画のテーマは「航空機電動化の最先端と雪国秋田を実感できる交流プログラム」についてである。近年秋田県では、航空機電動化に関する研究が盛んである。また、マレーシアの学生さんにとって、雪国秋田の暮しは未知の世界と思えるので有意義な交流ができるものと考え本企画を実施した。2021年度にも本企画を計画したが、その際にはオンラインでの実施であった ので、実際にマレーシアの方を秋田に招へいするのは今回が始めてとなる。

 本プログラムでは、内閣府地方創生プロジェクトの支援のもとで秋田大学や秋田県および秋田県立大学が進めている航空機の電動化というテーマに興味を持ってもらうこと、そして将来秋田に留学して航空機電動化のテーマについて研究の機会を持ってもらうことが交流計画の主な目的および趣旨である。航空機電動化に関する研究では、秋田大学と秋田県立大学は、共同で電動化システム共同研究センターを運営し研究を行っている。センターには、研究施設として秋田空港近くに新世代モーター特性評価ラボや、企業連携・広域連携・異分野連携等、新産業創出を目指した様々なコラボレーション創出の場とするため、株式会社アスター内にアスターサテライトラボを設置し、共同研究やPBL教育等を実施している。また、日本を代表する航空機関連メーカーIHI(株)とも共同で研究を行っている。

 下の写真は、IHIとの共同研究で2023年3月に完成した航空機電動化に関する実験装置をマレーシアの学生さんに紹介している様子である。

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電動化システム共同センターの実験装置

 装置は、電導化システム共同研究センター新世代モーター特性評価ラボに設置されている。ラボでは最先端の実験装置を使って、モーターの高性能化やスマートグリッド送電および客室空調のシステムについて研究を行っている。これらの装置や研究および航空機電導化の現状について、秋田大の教員や学生およびIHIのメンバーから詳しい説明を行った。株式会社アスターの工場見学も実施し、秋田で実施している最先端の科学技術について、マレーシアの学生さんには大変興味を持ってもらったと感じている。

活動レポート写真2
研究紹介の様子

 一方で、マレーシア学生の一番の楽しみは、実は研究内容よりも他にあったかもしれない。雪国秋田の文化や特色を知ってもらうため、秋田の名所である日本一水深の深い田沢湖や乳頭温泉郷を視察に出かけた。引率の教員を含めて、参加者全員が生れて始めて「雪を見た」とのことで、大はしゃぎで雪を体験していた。

活動レポート写真3
始めての雪に大はしゃぎする参加者達

 今年は春の訪れが例年より早く、雪解けが少し早かった。本物の冬本番にプログラムを実施していれば吹雪があり寒くて寒くて秋田の印象はまた違っていたかもしれないなと思う。その他にも、公益財団法人秋田県国際交流協会(AIA)や地域のボランティの方のご協力で日本文化を学ぶ機会を設けることができた。茶道の作法や着物の着付けなど実際に体験する場を設けていただき、国際的な交流や親睦を深めることができた。

活動レポート写真4
着物体験(着物のいくつかはプレゼントされた)

 マレーシアの学生さんは、とても優秀で技術説明の際には積極的に質問し活発な学術交流ができた。他方で、同じアジアのメンバーであり日本と同じく控え目な文化・習慣を有しているとも感じた。親睦会では、秋田大学の学生も参加し、お互いの相互理解や交流を図ることができた。 本プログラムを通して秋田大学の国際化およびマレーシアの学生さんには、秋田の研究や将来の秋田への留学を考える機会として大変効果的であったと考えている。