2022年度活動レポート(一般公募プログラム)第175号 (Aコース)
DX時代の地方創生の実践的事例~「空港×地域観光資源×ホテル」と「人材誘致×ワーケーション」で復活・活性化する地方の好事例~
桜美林大学からの報告
本プログラムは、経営戦略・ファイナンス・事業再生などを専門とするビジネスマネジメント学群所属の池田 聡教授が指導にあたり、プログラム全体のデザインやコーディネーションを担当した。「DX時代の地方創生の実践的事例~「空港×地域観光資源×ホテル」と「人材誘致×ワーケーション」で復活・活性化する地方の好事例~」をテーマとし、少子高齢化と都市部への人口一極集中が進行し、地方の在り方が問われている昨今の地域経済や自治体機能、コミュニティの維持発展との課題に注目した。海外参加学生が、地方創生、地域活性化に絡まり合っている多面的な要素を1つ1つ紐解きながらも、どのように結びつき合っているか、どのような構造になっているか、を理解するとともに、南紀白浜にあるホテル・シーモアを中心に、南紀白浜内の空港、テーマパーク、観光地などを視察することで、学んだ理論を身に付けていった。また、グループワークを通して、地域資源をどのように発掘し参加者自身の国々への日本的地方創生ノウハウの展開を考えるきっかけとした。
昨年度は、新型コロナウィルス感染症(COVID−19)の影響によりオンラインでの実施となったが、本年度は対面実施が実現した。また、1週間という短い期間で交流を深化させるために、事前にオンライン交流会を行うことは、到着後の学生間コミュニケーションを円滑にした。オンライン時から本学国際交流団体Buddy'sが主体となり交流を行った。
来日後のプログラムでは、国内企業・機関から講師にご登壇いただき、企業や地方自治体の取り組み、内外に存在する現有資産を利活用した好事例で、その発想や着想、戦略、仕組み、実践事例に関する講演を受講し、各国の現状や課題、今後の展望に関する意見や質問、提案について活発に意見交換をした。
また、南紀白浜滞在でKEY社、空港運営の幹部、ホテルシーモアを運営する白浜館の幹部から全体像の説明を受けるとともに、実際に空港やホテルを利用し、日本の「おもてなし」について体感した。各地で関連する企業などの生の声を聞く事、また、講義では理解しきれない現地での事業展開や地方創生で重要となる客、住民の行動様式の変化を知る実地調査を海外参加学生が積極的に行った。
地方創生企業として和歌山、特に南紀白浜の創生を進めている企業であるKEY(株)は、地方創生手法として、G型産業とL型産業の棲み分け、「アゴ、アシ、マクラ、映え」フレームワークに基づくコンテンツの提供、などの提唱を行っているほか、和歌山県やMaaS関連企業、JALやSonyなどとタイアップした新たな地方創生にも乗り出しており、最新の地方創生手法、取り組みを学生へ紹介した。
2019年に民営化された南紀白浜空港は、空港を軸にホテル、世界遺産である熊野古道、日本三古湯である白浜温泉など、既存の豊富な地域観光資産を利活用し、南紀白浜地域の創生を進めている。学生が南紀白浜地域のさまざま施設を利用し、「地域観光資源」を複合的且つ統合的な活用、さらに最新の技術を活用した地方創生の取り組みを身につけた。
また、2008年から淡路島の復興に取り組み、日本初の体験型エンターテインメントアニメパーク開設、地元食材を活用したレストランや自然をテーマにしたホテルなどを積極展開しているパソナグループ(株)の担当者より、「人材誘致」における新たな取り組みの展開とそれに伴う雇用創出の流れと手法、また、最新技術を活用した先進的ワーケーションの展開などの内容を講義で紹介した。パソナグループ(株)が大企業としてワーケーションに積極関与した日本初の事例として、学生からも積極的に反応してもらった。
最終発表に向けての準備や最終意見交換を実施。参加した日本学生からもフィードバックをもらい、グループごとに立案したテーマについて各自作成した資料を用いて発表した。地方創生に関する議論が多面的・多角的に行われ、イノベーティブなアイデアが生まれ、研修の集大成に相応しい発表となりました。
参加をした留学生・招へい教員の事後アンケートでの満足度は非常に高く、また留学や就職で日本に戻りたいといった声も多く寄せられた。今後の再来日や相互の学生交流、研究交流に繋がることを期待する。