2022年度 活動レポート 第170号:筑波大学

2022年度活動レポート(一般公募プログラム)第170号 (Aコース)

Undergraduate Science Course in Tsukuba 2023

筑波大学医学群医療科学類からの報告

 筑波大学医学群医療科学類は、科学技術振興機構(JST)の支援を受け、2023年2月19日から2月25日までの期間、アジア圏諸国から13名の大学生を招へいし、さくらサイエンスプログラムとして第8回目となる「Undergraduate Science Course in Tsukuba 2023」を開催しました。このプログラムでは、日本の医学研究を世界に紹介するとともに、海外から若い才能を日本に招待し、未来の科学者たちの育成を目的としています。

 このプログラムには、COVID−19感染拡大期以前から交流を続けていた協定校であるベトナムのホーチミン市自然科学大学、ホーチミン市国際大学、インドネシアのインドネシア大学医学部・薬学部、および台湾の国立成功大学からの学生たちが参加しました。さらに、インドネシア・パジャジャラン大学薬学部から2名の大学生を新たに招へいし、新たな交流を築くことができました。

 このプログラムでは、筑波大学医学群医療科学類生も参加し、招へいされた学生たちと一対一のペアを組んで、分子細胞生物学、実験病理学、睡眠医科学、代謝内分泌学、循環器学、血液内科学、免疫学、ウイルス学、再生医学などの医学系研究室に配属され、実際の研究課題や手法を学び、研究に取り組みました。このような国際的な研究交流を通じて、若い研究者の卵たちが相互に刺激しあい、新たな発見や知見が生まれることが期待されます。

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分子細胞生物学研究室、実験病理学研究室における教員・大学院生による研究指導を受ける参加者

 本学のMedical English Communication Center(MECC)は、専門的な医学英語の教育を行っており、世界的な学術交流を目的として、英語力を向上させるための様々な講座やイベントを開催しています。中でもMECCのトーマス・メイヤーズ先生は、長年にわたって医学教育で活躍してきた経験を持ち、専門的な知識と豊富な経験を基に、分かりやすく、かつ緻密な英語表現を指導しています。参加者たちは、先生から熱心な指導を受けながら、将来的に国際的な学術会議での発表にも対応できるようになることを目的に、より高度な医学英語によるプレゼンテーションを行うための手法やノウハウを学びました。

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トーマス・メイヤーズ先生よるプレゼンテーション指導を受ける参加者

 参加者たちは、研究室活動以外でも多くの活動を経験しました。筑波大学病院見学やつくば市内ツアーに参加し、医療分野における多様な分野に触れることができました。本学附属病院陽子線治療センターでは、陽子線治療、X線治療、密封小線源治療など、最新の医療技術を体験し、陽子線ビーム加速器などの機器を見学しました。このような訪問は、医学分野の実践的な知識を深めるだけでなく、参加者たちの専門分野における知識や洞察力を養うことにつながることを期待するものです。

 さらに、宇宙航空研究開発機構(JAXA)筑波宇宙センターにも訪れ、宇宙飛行士の健康管理に関する情報を学ぶことができました。宇宙飛行士の健康管理は、極限環境での生命維持に関わる重要な要素であり、参加者たちは医療分野における新しい知識を得ることができました。

 また、参加者たちは自国文化や大学についての情報を共有し、互いのキャリアプランについて議論し、未来の医学関連スペシャリストとしての夢を語り合うことができました。このような交流の機会は、異なる文化や背景を持つ人々が、相互理解を深め、新しい知識や視点を得ることができる貴重な機会であり、参加者たちにとって有意義な経験になったものと思われます。

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筑波大学附属病院陽子線治療センター、JAXA筑波宇宙センター見学

 そして、プログラム最終日には、参加者らが研究室で体験した研究成果を発表するプレゼンテーションが行われました。参加者たちは、それぞれの研究テーマについて、詳細な説明と結果を英語でプレゼンテーションし、多くの本学教員や大学院生らが参加する中、討論を行いました。そして修了証授与式では、本学医学群医療科学類の教授が参加者たちに祝辞を述べ、修了証が授与されました。本プログラムが、今後の本学医学群医療科学類と協定校とのさらなる交流の深化につながっていくことを期待します。

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発表会およびフェアウェルパーティにて

 招へいされた参加者たちは、担当教職員によって空港まで見送られて離日し、「Undergraduate Science Course in Tsukuba 2023」を無事に終了することができました。 COVID−19の感染拡大が依然として続く中、本プログラム実施に対して柔軟に対応してくださったJSTさくらサイエンスプログラムおよび支援してくださった全ての皆様に深く感謝申し上げます。