2022年度 活動レポート 第162号:芝浦工業大学

2022年度活動レポート(一般公募プログラム)第162号 (Aコース)

日越印3か国の社会課題に対応するロボット設計ワークショップ

芝浦工業大学からの報告

【プログラム概要】

 ベトナム・ハノイ科学技術大学(HUST)、インド工科大学デリー校(IITD)という、両国を代表する工学系大学を招へいし、プログラムを実施した。具体的には、本学教員および学生ティーチングアシスタントの指導の下、ライントレースロボットの実装と機能拡張のワークショップと、博物館・企業ショールームでの最新技術の視察フィールドスタディを通して、ロボット技術知識の習得と、それに基づく応用領域の立案力を鍛えるプログラムである。学修目的は、ロボティクスにおける実践用途までを見据えた包括的応用力、日本の技術および企業の把握、そして本学学生を含めたクロスボーダーチームワーク力の醸成である。

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日本科学未来館にて

 まず初日は、3大学のそれぞれの紹介とオリエンテーションの後に、一般社団法人日本ロボット学会の細田祐司事務局長に、特別講演をいただいた。ロボット技術の最新動向と今後の展開の方向性という、将来的な広がりに溢れたお話に、各国大学生とも活き活きとした表情で聞き入っていた。

【プログラム詳細】

 それに続くワークショップで、各自が1台のライントレースロボットを製作する個人課題(Mission1)と、ロボットの拡張機能をグループで提案するグループ課題(Mission2)を、各国学生の混成チームで取り組む、という内容で構成した。これには、異文化交流や、多様な意見のぶつかり合いとそれを乗り越える創造的解決の体験という意図も含まれている。参加者は、ほぼ同じ専門領域と学年でありながら、傍から見ていてこうも違うものかというくらい、知識レベルから行動パターンまで異なり、ひいては最終形も非常に幅のあるものとなった。

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ワークショップの様子

 また本プログラムでは、日本の技術や文化に触れてもらう機会も重視しており、東京駅前の学術文化総合ミュージアム「インターメディアテク」や、東京駅舎の視察、そしてお台場の日本科学未来館と川崎重工の産業ロボットショールームKawasaki Robostagの見学も実施した。参加学生からは、スケールの大きな展示物や産業用ロボットアームなど、日常生活では見る機会のないロボットを直に見る驚きに加え、本学キャンパスから電車で簡単に最新技術にアクセスできる環境に、羨望の声が聞かれた。

 最終日は、グループプレゼンテーションとデモンストレーションを実施した。各チームの成果を発表した上で、各国の指導教員および前出の細田事務局長からフィードバックを受けるという、インタラクティブな進め方で実施した。それぞれが、試行錯誤しつつ、創意工夫を凝らしてまとめ上げたこともあり、一人一人が修了証を受け取ったときには、みな安堵と達成感に満ちていた。

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修了証授与の様子

 以下が、参加者からのコメントの抜粋である。

 HUST学生1: “I had an unforgettable experience during my exchange trip to Japan. I was impressed by the country's cultural heritage and was fascinated by the advanced laboratories and historical sites. During my stay, I gained a deeper understanding of robotics, which was a great learning experience for me. Overall, I feel privileged to have had the opportunity to immerse myself in Japan's unique culture and cutting−edge technology.”

 HUST学生2: “My exchange to Japan will not only be a wonderful experience, it will also be one of my most enriching experiences in life. Most people who come to Japan for the first time can't help but fall in love with this country and its people. A very personalized and fun exchange program with lots of beautiful scenes and friendly people in Japan. Dedicated lecturers who were professional at teaching, a great studying environment.”

 IITD学生: “It was a wonderful experience from the day 1 till end. Working on a project in college in daytime from 10AM to 6PM then exploring TOKYO was daily routine but we never felt tired on any day (7 days). In this program, learning from the project was main output like teamwork, electrical circuit making, gear box assembly making then making it to run using programming. It was all fun there. It's a great program and due to this we make international friends and learn from those.”

 最後に、HUSTの引率および指導教官であるDr. Pham Ngoc Hung、およびIITDのDr. Subir Kumar Sahaからも、非常に好意的なコメントをいただいた。過年度までは、本学の教員および学生が両大学を個別に訪問し、現地でワークショップを実施するという一方通行であった。それに対し、今回はHUST、IITD学生が日本を訪問し、かつ合同で学習という形態を実現することができたことは、この3大学にとって共に有益である。これを基盤に今後の更なる相互交流につなげていきたい。