2022年度 活動レポート 第160号:旭川工業高等専門学校

2022年度活動レポート(一般公募プログラム)第160号 (Aコース)

タイの大学生と旭川高専生の人財育成に資する科学技術体験・交流プログラム

旭川工業高等専門学校からの報告

 さくらサイエンスプログラムの支援を受けて、2月20日から26日の7日間の日程で、タイのカセサート大学およびコンケン大学から引率教員各1名を含むそれぞれ7名と6名を受け入れました。

【初日】

 旭川空港にて13名を出迎えましたが、羽田空港での機材トラブルにより約2時間遅れての到着でした。その後旭川高専に移動し、ガイダンスを行いました。

【2日目】

 午前中に金属試験片の破断実験とスズ−銅合金を用いた鋳造実験を行いました。破断実験における試験片の作成、引張り試験機での破断、その後の破断面の解析はいずれも教科書からだけの知識だったようで、とても興味を持って見ており、質問も多くありました。鋳造では各自が旭川市の公式キャラクター・アサッピーの砂型を作成し、それぞれスズ−銅合金を流し入れ、冷却して完成させました。なかなかうまく作れないことを実感したようです。

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金属試験片の破断実験を興味深く見つめる参加者

 午後からは本校5年生、専攻科1・2年生も参加し、3校合同のポスター形式でのジョイントセミナーを行いました。お互いが母語ではない英語での発表と質疑応答であったため四苦八苦する姿も見受けられましたが、何とか伝えようと一生懸命に取り組んでいました。その後は、懇親会でさらに親睦を深めました。

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ジョイントセミナー終了後発表者の集合写真

【3日目】

 北海道の科学技術を知ってもらう目的で、北海道電力石狩湾新港発電所と北海道大学総合博物館を見学させていただきました。発電所は最新鋭の高効率LNG火力発電であり、LNGの受け入れ・貯蔵・高効率発電の仕組み・環境負荷の低減などの説明を受けた後、多くの質問が出ていました。北海道大学総合博物館ではノーベル化学賞を受賞した鈴木章先生の業績など、北海道大学発の数多くの研究成果を見て回りました。

【4日目】

 午前中に旭山動物園を訪問し、数々の行動展示や寒冷地ならではの、工夫や技術などを学びました。午後からは株式会社カンディハウスを見学しました。こちらは旭川を代表する家具メーカーであり、広く東南アジアや欧米へも輸出しているハイセンスなインテリア製品の精度の高い加工技術を見学しました。

【5日目】

 午前中にAI学習および光通信回路作成実験を行いました。AI学習では、PCとCCDカメラを用いた色認識のAIプログラムを用いて、学習の深度の違いによる認識結果を比較しました。光通信回路作成では、基板上にマイコン、LEDおよびフォトトランジスタで電子回路を作成し、電気信号を光信号に変換する回路、光信号を電気信号(音信号)に逆変換する回路を作成し、光通信の基礎実験を行いました。

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色認識のAIプログラムを用いて、学習の深度の違いによる認識結果を比較中

 午後からは身近にあるポリマーの生成や利用方法などを体験しました。ポリマーの生成では、発泡ポリウレタンを作り、身近な食器洗い用スポンジから北海道の住宅には欠かせない高断熱材料となることを学びました。ポリマーの利用では、セロファンテープと野菜テープを取り上げ、表面を触った際の粘着性と貼り付けた後の剥離性の違いの秘密に迫りました。

【6日目】

 東京に移動し、日本科学未来館を訪問しました。まずは、地球を俯瞰的に眺められるGeo−Scopeに圧倒され、その後短い滞在時間の中で日本の最先端技術に触れ、体験しました。

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日本科学未来館にて

【最終日】

 晴天となり、一行は羽田空港からとても綺麗な富士山を眺望し、無事に帰国の途につきました。

 今回の招へいプログラムは相互理解を深めることができ、参加した学生のみならず関係した教職員にとっても大変有意義なものとなりました。また、このプログラムがきっかけとなり、5月にはカセサート大学から2名の学生が2か月間のインターンシップのため、旭川高専に来校することになりました。このような貴重な機会を与えていただいた科学技術振興機構に深く感謝申し上げます。ありがとうございました。