2022年度 活動レポート 第157号:サレジオ工業高等専門学校

2022年度活動レポート(一般公募プログラム)第157号 (Cコース)

海外短期モノづくり留学生に対するロボット関連教育と技術修得

サレジオ工業高等専門学校 機械電子工学科
准教授 米盛 弘信さんからの報告

 サレジオ高専では、2023年2月23日~3月4日の10日間、さくらサイエンスプログラムに採択していただき、ロボット関連教育と技術修得講座を実施しました。本プログラムでは、フィリピンにあるサレジアンファミリー(本校の経営母体であるカトリック・サレジオ修道会のほか、創立者ドン・ボスコの精神とスタイルに影響を受けて生まれた世界中の32グループ)が運営するカリタス・ドン・ボスコ・スクール(CDBS:Caritas Don Bosco School)の生徒10名と先生1名を招へいし、モノづくりに関する短期講座を行いました。題材は、本校機械電子工学科で実施している自律制御ロボット「落ちない君」をベースとし、電子回路の基板製作からマイコンのプログラミング、および機械実習としてアーク溶接まで幅広い内容のモノづくり講習を行いました。特にロボットの製作においては、PDCAサイクルを意識し、製作だけではなく改善作業までの一連の活動を体得することを目的としました。

 初日は、羽田空港で合流して町田のホテルへ向かい、チェックイン後にフィリピンの生徒と本校学生で夕食を食べました。2日目は、サレジオ高専にて両校の学校紹介、自己紹介を英語で行い、校内施設見学(無響音室、電波暗室他)の後、秋葉原へ部品等の買い出しツアーへ行きました。その後、近くの浅草寺・雷門、東京スカイツリーを見学しました。

 3日目からいよいよ自律制御ロボットの製作に入ります。同日は、ロボットに使用する電子回路基板を製作しました。基板のエッチングから初めてボール盤による穴あけ、部品のはんだ付けを行いました。4日目も引き続き、はんだ付けを行い、終わった順に次工程へ進みました。次工程は、ギヤボックスの組み立てと基板間を接続するケーブルコネクタの製作です。ケーブルコネクタの圧着作業は、非常に細かいため苦労しながら作業を進めました。5日目も前日に引き続き、ケーブルコネクタの圧着作業に取り組みました。そして、ケーブルコネクタが完成した生徒からロボットの組み立てを行いました。

活動レポート写真1
電子回路基板の製作
活動レポート写真2
ロボットの組み立て

 6日目はマイコンのプログラミングを行うために、各自のロボットをどのように動かすか各自で考えてもらうことからスタートしました。そして、各自でマイコンのプログラミングを行い、試走を行いました。7日目は、PDCAサイクルを意識して競技フィールドで試走を繰り返し、早くゴールへ到達できるロボットを作るべく改良を行い続けました。そして、ロボットの動作が安定した生徒からロボットの外装設計と製作を行いました。8日目は、午前中にアーク溶接体験を行いました。この体験では、突合せ溶接によってオリジナルキーホルダを製作しながら溶接技術や安全衛生を学びました。午後は、各自が製作したロボットを使用したミニロボコン(トーナメント試合)を行いました。試合は、絶叫と歓喜が入り混じった雰囲気で非常に盛り上がりました。

活動レポート写真3
ロボットの制御プログラム

 9日目は、午前中に実習生が今回の実習で学んだことをパワーポイントにまとめる作業を行いました。昼食は、さよならパーティとして、お寿司等の日本食をたくさん食べてもらいながら、盛り上がりました。午後は、さよならセレモニーとして、実習報告・試合結果の表彰等を行いました。10日目は、午前中にカップヌードルミュージアム横浜へ行き、日本が誇るインスタントラーメンの技術史を見学しました。その後、羽田空港へ移動し、別れを惜しみながら帰国していきました。

 フィリピンの生徒は、初めて行う教育内容に大きな興味をもって非常に真剣な眼差しで受講していました。実習中は、タガログ語・英語・日本語が混じり合い、相手に意思を伝えようと工夫する姿勢が見受けられ、日本・フィリピン双方の学生にWin−Winの関係が築けて非常に活発な技術交流になりました。このような機会を与えていただきまして、JSTの皆様には大変感謝しております。
 なお、CDBSの皆さんは、本体験を経て後輩育成や各種大会への出場に向けて活動しています。サレジアンファミリーの活躍に温かい声援をよろしくお願いいたします。

活動レポート写真4
ミニロボコン後の集合写真