2022年度活動レポート(一般公募プログラム)第155号 (Aコース)
植物バイオテクノロジー分野における日本の先端科学技術について学ぶ体験交流
筑波大学からの報告
筑波大学つくば機能植物イノベーション研究センターでは、2023年2月5日から2月11日まで、インドネシア・パジャジャラン大学より学生10名(大学院生2名、学部生8名)と教員1名、合計11名を迎え、ゲノム編集や分子育種を利用した新品種育成において不可欠な先端的科学技術の体験をテーマにプログラムを実施しました。
7日間のプログラムでは、地球温暖化や熱帯地域における急速な人口増加が進んでいる中、野菜におけるニーズや気候変動に適した迅速な新品種育成のシステムが必要であり、ゲノム編集や分子育種手法などの先端技術の早期導入が求められている現状を踏まえ、招へい者の先端的科学技術における視野を広げることを目的としました。本研修プログラムの成果として、日本の先端研究施設の紹介、実験実習を通じた先端技術の習得、両国間の文化交流の3つがあげられます。
プログラム初日に同大学に設置しているつくば機能植物イノベーション研究センターの遺伝子実験センター、バイオ・マテリアル棟およびT−PIRC農場などの施設見学を行い、植物バイオテクノロジーの先端技術について学びました。また、プログラム期間中につくば市内の国立研究・保存施設である筑波実験植物園、国際農林水産業研究センター(JIRCAS)、農研機構・食と農の科学館を訪問し、日本の農業と食のための先端農業技術を用いた日本の取組みについて理解を深めました。
先端兼技術の習得では、招へい者らが実際に実験に参加し、「トマトの環境ストレス関連遺伝子の発現に関する実験」といったテーマで、低温処理したトマトの果実からRNA抽出、cDNA合成、定量PCR、電気泳動等の実験を行いました。その後、得られたデータを自ら解析して見える化することで、農学研究において先端科学技術を習得することができました。
両国間の文化交流では、日本の伝統的なひな人形を折り紙で作ったり、書道で自分の名前を書いたり、餅をついてからきなこ餅とお雑煮を作って食べたりしながら日本の伝統文化を体験しました。餅つき体験の日は雪がちらつき、初めて雪を見た招へい者たちは、大いに盛り上がっていました。また、招へい者たちがインドネシアの竹製打楽器のアンクルンを使い、インドネシアの伝統的な歌を紹介してくれました。
招へい者たちからは、「さくらサイエンスプログラムを通じて日本の研究環境、文化について理解を深めることができた」、「再度訪問したい」「母国では学べない実験・実習に参加してとても楽しくて、勉強になった」などの意見が多く聞かれました。
今後は、交換留学生や大学院への受け入れにもつながると考えております。