2022年度活動レポート(一般公募プログラム)第152号 (Bコース)
がんにおけるイオンチャネル:T型カルシウムチャネル(Cav3.2)の動態特性の探索
名古屋大学からの報告
2023年1月13日から31日まで、さくらサイエンスプログラムの支援を受けて、共同研究活動コース「がんにおけるイオンチャネル:T型カルシウムチャネル(Cav3.2)の動態特性の探索」を開催しました。今回のゲストは、インド工科大学ハイデラバード校の博士課程に在籍するAnkush Sharma(アンクシュ・シャルマ)さんです。Ankushさんは、2022年から共同研究を開始しているAnamika Bhargava准教授のPhD学生です。インド工科大学ハイデラバード校は、2008年に設立された、インドでは比較的新しい国立大学です。
今回のプログラムでは、共同研究・交流の強化を意図して、タンパク質生化学と電気生理学(パッチクランプ)の分野の授業と予備実験を行うことを目的としました。
Ankushさんは、1月13日の夕方、中部空港に到着し、本学の海外からの来賓用施設に宿泊されました。翌日、キャンパス内外の日常生活についてのオリエンテーション、キャンパスツアーを行った後、研究室のメンバー全員に紹介されました。学生たちとAnkushさんとのコミュニケーションは素晴らしく、すぐにうち解けた雰囲気になりました。学生たちの英語によるコミュニケーションも上手にできていたと思います。
私たちは、骨格筋と心筋における電位依存性カルシウムチャネルと足場タンパク質の役割と機能に焦点を当て、生化学的、分子生物学的、電気生理学的手法を用いて、足場タンパク質とイオンチャネルが骨格筋の発達や心筋のストレスに対する反応にどのように影響するかを研究しています。今回招へいしたAnkushさんは、生化学的手法やタンパク質の精製、定量、ゲル電気泳動による分離、ウェスタンブロッティングによる検出の実験について学び、実践しました。また、ウェスタンブロットの結果の解析や解釈、実験に失敗した場合のトラブルシューティングについても議論しました。そして、細胞膜イオンチャネルの活性を測定・定量化するパッチクランプの電気生理学的技術についてもフォローし、技術力を向上させることができました。
Ankushさんは、当研究室でセミナーも開催しました。前半は、インド工科大学ハイデラバード校とバイオテクノロジー学科について紹介されました。第2部では、博士課程の研究プロジェクトとその結果について説明されました。
研究室で実験をしながら、研究室の学生たちと有意義な議論を交わし、研究、科学、技術に関することだけでなく、日本とインドの文化やその違いに関する話題についても意見交換をしました。このような日々の交流を通じて、Ankushさんと本学学生は新しい文化を発見し、将来的に両者の研究協力に役立つような友情を築くことができました。
プログラム終了後、Ankushさんは修了証を受け取り、1月31日にインドのハイデラバードに無事帰国することができました。
今回のプログラムは、Anamika Bhargava准教授との研究協力関係を強化するとともに、本学の学生にとっても、海外の学生と交流し、議論する良い機会となったのではないかと思います。初めての日本で、今回のプログラムを経験することによって異なる環境での研究は、将来の研究者としてのキャリアにとても有益であったと思います。
このプログラムを支援してくださったJSTに感謝の意を表したいと思います。