2022年度 活動レポート 第132号:福井大学

2022年度活動レポート(一般公募プログラム)第132号 (Aコース)

タイの高校生が福井大学で地球環境に優しい先端技術を学ぶ

福井大学からの報告

 本プログラムは科学技術体験コースで、「地球環境に優しい先端技術の研修」をテーマとしています。その狙いは、タイの優秀な高校生を本学に招へいし、水を使わず繊維を染色する超臨界技術、およびプラスチック成形加工におけるリサイクル技術といった、地球環境に優しく、持続可能な地球環境の保全に貢献可能な本学の先端技術に触れることにより、本学への留学意欲を高めることにあります。

タイのマハタイスクール(マハタイ高校)からの招へいとしていますが、その理由としては、

  • 2019年9月に本事業により同校からの招へいで本学の先端的科学技術の体験を行った ところ、それにより同校から本学への留学希望者が増加し、校内での日本語授業の時間数を増やす検討に入っていること。
  • ② 現在、本学と同校との間で、タイのコンケン地区における本学工学部附属の海外高大接続教育研究拠点の設置について議論を行っており、本事業の再実施により、その設置について大きな進展が期待できること。
  • ③ 本学では今年度からタイから優秀な留学生の確保のため私費外国人留学生(工学部特別枠)入試を導入していること。
以上の3点が背景にあります。

 今回、2023年1月22日から28日までタイ・マハタイスクール(マハタイ高校)から生徒10名、引率教員1名を招へいし、本学における地球環境に優しい先端科学技術の研修を行いました。招へいした高校生らは、久しぶりの対面での交流ということで、すべてのプログラムに意欲的に取り組んでくれました。

 一行は1月22日に中部国際空港に到着後、鉄道で福井に到着しました。23日午前には国際課によるオリエンテーションを行い、上田孝典学長を表敬訪問しました。

活動レポート写真1
上田学長との記念写真

 そして、午後と翌24日午前にかけて地球環境に優しい先端科学技術の一つとして繊維王国・福井の技術力を背景に水を使わず繊維を染色する超臨界染色技術の講義・実験に参加しました。参加した生徒は将来の水不足問題に加え、廃水処理対策の面からも水を使わない染色方法の開発に強い関心を示しました。午後には本学における最先端のものづくり技術の一つであるトライポロジー(摩擦・摩耗・潤滑)の実験を行いました。トライポロジーの実験に対する疑問等を担当教員や学生に積極的に質問し、実験への理解を深めました。

活動レポート写真2
超臨界技術による染色の体験実習

 25日午前には、これまで国際会議で交流のある福井県立武生東高等学校に出向き、日本の高校生と小グループに分かれて、与えられたテーマについて英語でディスカッション等を行い、交流を深めました。同年代である高校生との交流では、互いを理解し合う中で日本とタイ双方の生徒ともに強い刺激を受けていたのは印象的でした。午後には大学にて音声情報処理の講義・実験に参加しました。

 26日午前には、タイに進出している地元の化学会社(日華化学(株))を訪問し、実際に日本のものづくり技術がタイでどのように製品化に繋がっているかを理解しました。午後には、プラスチック成形加工についての講義・実験に参加し、地球環境に優しいプラスチックのリサイクル技術を学びました。夕方には地元の仁愛女子高等学校を訪問し、茶室にて抹茶を体験し、日本の文化に触れました。

 27日午前には、福井を代表する文化施設:越前和紙の里で和紙すきを体験し、打ち解けた雰囲気の中で日本への興味・関心を深めました。午後には修了式を行い、28日に無事帰国の途につきました。

活動レポート写真3
日本の文化:和紙すきを体験

 お陰様で、招へい者の中には本学への留学を希望する生徒がみられました。この生徒は、これまで自分が日本に留学したいという希望を持っても、具体的にどのようなアクションをしたら良いか分からなかったようですが、本プログラムがこのような生徒に背中を押す貴重な機会を与えてくれたことが成果と考えます。そして本プログラムの修了生が日本とタイの国際交流促進の懸け橋となって活躍してくれることを切に願っています。