2022年度活動レポート(一般公募プログラム)第124号 (Aコース)
環境問題の改善に貢献する人材の育成
大阪公立大学 現代システム科学域
教授 興津 健二さんからの報告
2023年3月5日から3月11日の日程で、ベトナム国家大学ホーチミン市校科学大学で環境科学を学ぶ大学生と大学院生、研究生の計10名と引率教員1名の計11名を招へいし、「環境問題の改善に貢献する人材の育成」プログラムを実施しました。
ベトナムからの招へい者は、バンコク経由で朝早くに関空に到着後、ホテルに荷物をおいてから大阪公立大学中百舌鳥キャンパスに来学されました。本学白鷺門前で集合写真を撮影し、オリエンテーションを受け、その後、大阪市立長居植物園と大阪市立自然史博物館の見学を行いました。
翌日以降は、下記のような様々なプログラムを実施しました。
大学内にある植物工場研究センターでは、北宅センター長より最新栽培技術の内容について講義を受けました。さらに植物工場の見学では、工場内で実施されている野菜の水耕と水産養殖を組み合わせた生物生産システムなど様々な研究内容について学びました。
大学図書館の見学では、自動書庫に興味を持たれていました。数日プログラムが経過したときに招へい者に尋ねると、電車での自動改札や、レストランでのセルフレジでの支払いが興味深いと言っていました。
また招へい者は、環境共生科学課程に所属する教員から以下の講義を受けました。
- 黒田准教授からは、海洋環境学の分野からの講義として、大阪湾内で発生する海洋資源の有効利用技術の開発についての講義
- 藤井准教授と所属学生から、PM2.5などによる大気汚染に関する講義
- 竹中教授からは、最近様々な研究分野で注目を浴びているファインバブル技術に関する研究内容や、地球環境、環境モニタリングなどの講義
- 興津からは、水中で生成される超音波キャビテーションの概要と環境浄化技術についての講義
研究室見学では、招へい者全員が非常に熱心に見学されていました。
- 黒田研究室では、未活用海産バイオマスを用いたエネルギー生産(メタン発酵システムなど)の研究紹介をしてもらいました。
- 藤井研究室では、大気に含まれるエアロゾルの分析や化学物質の分析に用いる各種分析装置について原理を説明してもらいました。
- 竹中研究室では、ファインバブルの発生装置や南極の氷などを紹介してもらいました。
- 興津研究室では、各種超音波照射装置を使って、超音波キャビテーションがもたらす物理作用と化学作用に関するデモンストレーションと実験を行いました。
研究室見学を通して、ベトナム学生は座学では知っている各種実験装置を実際に見ることができて、強く刺激を受けている様子が感じとれました。
日本での環境保全に対する取り組みや海洋環境における生態系に関する学修として、大阪市環境局舞洲工場(ごみ処理工場)と海遊館の見学や、日本の科学技術と科学教育に関する施設見学として、大阪市立科学館の見学を行いました。そして日本文化と歴史の概要を学修すると共に環境と文化財の関わりについて学修するためのプログラムとして、奈良に訪問しました。招へい者は何事にも好奇心旺盛で今回のプログラムに参加されていました。
プログラム中は春のように暖かい毎日が続いたので、南国から来られている招へい者の皆さんにとっては過ごしやすいことだったことと思います。本プログラムは、竹中規訓教授と藤井佑介准教授、黒田桂菜准教授をはじめとする現代システム科学域の教職員の皆さんの協力と、特に学生達の熱心な協力により、招へい者の皆さんは有意義な時間を過せたのではと思っています。ここに感謝の意を示します。