2022年度 活動レポート 第116号:千葉大学

2022年度活動レポート(一般公募プログラム)第116号 (Aコース)

日本の科学技術を核にSDGs解決を目指すグローバル協働ワークショップ

千葉大学教育学部
副学部長 野村 純さんからの報告

 2022年2月7日~2月13日、タイ、インドネシア、フィリピン、台湾、ベトナム、カンボジアから大学生、教員、計16名を招へいし、科学技術体験コースのプログラムを実施した。

 初日はガイダンスと自己紹介後、海外交流に興味を持つ千葉大学学生とともに、招へい者はマシュマロチャレンジを行った。これはチーム作り研修プログラムであり、パスタで塔を作りチーム間で高さを競うものである。簡単そうに見えるが構造材としてのパスタの脆弱性がネックとなり、なかなか想定通りにいかないところに面白みがある。このためチーム内で話し合いながら何度も試行錯誤を重ね、塔を作製していた。最終的に自立する塔が作れなかったチームもあったが、目的を持って話し合うことで、また競い合うことで打ち解けていった。この後、お弁当を食べながら親睦を深めた。

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マシュマロチャレンジ

 翌日からは研究室見学と実験実習を行った。リモートセンシングセンターのヨサファット・テトォコ・スリ・スマンティヨ教授の研究室を訪れ最新鋭のレーダーシステムを搭載したドローンの説明やその研究活動についての講義を受けた。続いて大和政秀教授による植物細胞の有糸分裂像の観察が行われた。教科書ではよく見るものであるが自分自身の手で標本スライドを作製し、観察する経験は招へい者にとって興味深いものであった。

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植物細胞の有糸分裂増の観察

 3日目には辻教授によるPCR実験が行われ、その後千葉県内のスーパーサイエンスハイスクールの一つである芝浦工業大学付属柏高等学校を訪問し、研究発表会に参加し、自らも発表するとともに高校生の研究発表を聞いた。その後、茶道部による茶道体験を行った。

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国立歴史民俗博物館での日本の歴史、文化および習俗の学習

 4日目は林英子准教授による酸化還元反応の実験講座に参加した。酸化還元反応を色の変化により可視化した実験教材をもとにその化学変化について学んだ。午後は佐倉市にある国立歴史民俗博物館を訪れた。非常に充実した日本の歴史、文化及び習俗に関する学びが得られ、日本を深く理解するきっかけとなることが期待できた。

 5日目は、午前中は千葉大学の学生とともに最新科学のトピックについてそれぞれの専門の立場から議論を行うとともに、これを教育に展開する方法について教材開発を含め検討した。また、午後は各国の研究者も含め科学に関するワークショップに参加した。各国の招へい者のデータサイエンス、理学、地学、工学、農学、社会科学、教育学などの専門の立場からグローバルな科学の取り組みの連携について、今後どのような観点から、いかに解決を目指すのかについて検討し、知識を深めた。

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SDGsに関するワークショップでのポスター発表

 6日目、午前中は国際研究発表会に参加し、それぞれの専門領域に近い分野ごとに分かれ、他の参加者とともに発表を行った。聴衆からはいくつもの鋭い質問、指摘、参考意見が出され、今後の研究活動の糧となった。また、午後はSDGsワークショップにファシリテーターとして参加し、日本の高校生、千葉大学の大学生・院生、またASEANの研究者らとともにSDGsの解決に向け、どのような課題があるのか、どのように取り組むべきかについて、それぞれの専門性を活かしながら討議し、ポスター制作を支援した。その後、班ごとにこの成果を発表した。

 最終日は、ファイナルプレゼンテーションが行われ、招へい者がこのプログラムでの学びを3チームに分かれて発表し、共有した。また、このプログラムにボランティア参加した千葉大学生・院生も彼らの学びを発表し、招へい者と友情を深めていた。この後、名残を惜しみながら帰国の途に就いた。

 なお、現在もLINEなどSNSを通じて活発な情報交換が参加者間で行われており、主催者としては、千葉大学生を含む若者のネットワークづくりに貢献することができたことを、支援してくれたJSTに感謝したい。