2022年度活動レポート(一般公募プログラム)第115号 (Aコース)
世界共通課題NCDsに対する協定校との取り組み
群馬大学大学院保健学研究科(看護学専攻)
准教授 牧野 孝俊さんからの報告
群馬大学では、さくらサイエンスプログラムの支援により、科学技術体験コースのプログラムとして、2023年3月5日から11日の期間において、フィリピン共和国・フィリピン大学看護学生と教員の6名を受け入れ、世界共通課題である非感染性疾患(NCDs)に対する予防の1つとなる減塩をテーマに講義やワークショップ、演習、そして日本の伝統文化についてフィールドワークなど、様々な活動を実施したので報告する。
【講義やワークショップ】
日本とフィリピンにおける①保険医療システム、②NCDsに関する概要、③NCDsにおけるリスク要因、④減塩対策としての日本食の発表、を群馬大学とフィリピン大学の学生や教員から互いに行った。また、発表後にワークショップを行い、日本とフィリピンそれぞれにおける相違点について討論がなされた。これらにより、参加者は、保険システムにおける財政面と支払い可能な疾患や治療内容が2ケ国において異なることが確認された。またNCDsにおけるリスク要因の観察や評価は、日本よりもフィリピンの方が優れており、WHOが出しているガイドラインをフィリピン版へ変更されたPhilPENについて、群馬大学の学生へ詳細な説明がなされ、日本におけるNCDsの観察・評価の向上に貢献された。
【演習】
日本における「和食の減塩ポイントの発表」を群馬大学の学生や教員から行った。また、発表後にワークショップを行い、日本における減塩の工夫ポイントについて討論がなされ、参加者は興味深そうにメモを取りながら討論に参加していた。またその後、「減塩の工夫を施した日本食レシピの考案」を全員で行い、翌日の調理に向けた準備を行った。ここでは、塩分が過多になりやすい日本食において、どのように減塩がなされているか、調理方法や食材の用い方について、参加者は理由を確認しながら討論に参加していた。
また、今回、管理栄養士を養成している高崎健康福祉大学健康栄養学科の3名の教員に御協力を賜り、参加者たちと考案したレシピの調理を行った。またこの際に、再度詳細に減塩の工夫点について調理をしながら説明を受けることができた。さらに参加者は、真剣に調理を行い、考案した日本食を完成させ、最後に全員で試食を行った。試食中に、参加者全員から知識だけではなく、技術も獲得できるこのプログラムはすごく有益であることが試食中に感想として出された。
【報告会・修了式】
帰国前日の報告会では、このプログラムの成果として、参加者が今回の研修で学んだ内容について発表を行った。発表後の質疑応答の時間に、本学の学生や教員からアジア共通の課題であるNCDsに対する減塩対策における国・個人レベルで示された個々の課題に対し、様々な質問がなされ、参加者は学びからしっかりと回答していた。
報告会後に、修了証授与式を行い、参加者全員に修了証を授与した。
短い時間ではありましたが、トラブルや事故を起こすことなく、プログラムを終了することができた。参加者だけではなく群馬大学の学生にとっても非常に有意義なプログラムであり、このような貴重な機会を与えて頂き、多大なご支援を賜りました「さくらサイエンスプログラム」に厚く御礼を申し上げます。