2022年度活動レポート(一般公募プログラム)第114号 (Aコース)
新モンゴル工科大学の学生が実践的な情報技術を学ぶ
北見工業大学国際交流センター
講師 鈴木 衛さんからの報告
2023年2月24日から3月3日までの8日間、本学の国際交流協定締結大学である新モンゴル工科大学の学生10名、教員1名を招へいし、情報人材育成プログラムを実施しました。本学は、初申請・採択であり、事務手続きではJST担当者から多くの指示を仰ぎながら本プログラムをスタートさせることができました。採択から実施まで時間的余裕がなく、焦りを感じながらの手続きだったのですが、常に的確な指示をいただき、一つずつ前に前に進めていくことができました。心より御礼申し上げます。
今回の申請の背景には、前年の秋に両学のトップ同士の相互訪問があり、その際モンゴルでは情報人材の育成に重きを置いていることを知り、本プログラムを申請するに至りました。プログラムでは、実際に技術活用している「カーリングの競技力向上支援システム(冬季スポーツ科学研究推進センター長 桝井文人教授)」と「バスロケーションシステム(情報処理センター長 升井洋志教授)」の二つの異なる研究分野を通して、モンゴル社会の問題解決につながる糸口を見出せるプログラムを提供しました。
カーリングの競技力向上支援システムでは、モーションキャプチャシステムを用い、実際に全員がストーンを投げ、その動きを測定し、Visual3Dによりデータ解析を行いました。重心の動きや関節角度などを把握することができ、それをフィードバックする方法を学びました。また、カーリング経験者の投石フォームと重ね合わせ、重心の位置や投げる際の姿勢が異なることを知り、カーリングの難しさも体感したようです。情報の記録、解析、可視化、共有の4つの技術に触れることができ、モンゴル独自のスポーツへの活用を検討する学生も見受けられました。
バスロケーションシステムは、本学の升井教授が作成に携わり、実際に北見市で導入されている同システムについて講義を受けました。まず、データの集積から乗客に位置情報を提供されるまでの過程についての詳細な説明があり、その後、集めたデータを分析し、路線毎の問題点(頻繁な遅延等)を見つけ出し、時刻表の改訂の際に反映されたこと等についても説明がありました。それに加え、北見たまねぎのキャラクターを用いたプロモーションに関する紹介もあり、研究から実用化されるまでの流れを知ることができました。引率教員からは、ウランバートルでの既存のデータを活用し、システムの構築を行いたいという話もありました。
このように、8日間のプログラムは、移動日を除くと中4日間ではありましたが、参加学生達は、毎日新しい情報に触れることができ、多くの学びがあったと話していました。また、数名の学生が本学大学院への進学を希望していることもあり、入学につながるように支援を行っていきたいと考えております。また、今後も好循環な学生交流が継続できるように本学ならでは可能な、時代に即したプログラムを提供していき、国際社会に寄与していきたいと思います。改めて、このような機会を与えていただきましたJSTの皆様に感謝申し上げます。