2022年度活動レポート(一般公募プログラム)第113号 (Aコース)
学習保障を可能にするICT技術による学校教育改革プロジェクト
早稲田大学人間科学学術院
教授 古山 宣洋さんからの報告
2022年10月23日から29日にかけて、タイ・バンコクのパンヤーピアット経営学院(PIM)の学部学生7名、パンヤーピアット経営学院附属デモンストレーションスクール(6年一貫制の中学・高等学校)の生徒(高校生)3名、引率者1名を早稲田大学人間科学学術院に招へいし、掲題の招へい事業を実施しました。
「学習保障を可能にするICT技術による学校教育改革プロジェクト」に取り組む準備として日本の大手教科書出版社である(株)東京書籍におけるデジタル教科書の実演およびディスカッション(10/25)、埼玉県皆野町立中学校での授業参加、同町立小学校を見学した上で「学習保障を可能にするICT技術による学校教育改革」をテーマとするワークショップを、早稲田大学人間科学部・大学院人間科学研究科の学生らも交えて実施しました。
また、日本における外国人労働者の現状を知ることを目的に(株)リーブルテック(埼玉県加須市)を訪問してベトナム人技能実習生と懇談したほか(10/24)、最終日には遠州流茶道も体験してもらいました(10/28)。プログラムは以下のとおりです。
1日目 | 10月23日 | タイ・バンコクより羽田空港へ到着 |
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2日目 | 10月24日 | 開会式 (株)リーブルテック(埼玉県加須市)訪問 |
3日目 | 10月25日 | (株)東京書籍東京書籍株式会社プレゼンルーム(東京都北区)訪問 |
4日目 | 10月26日 | 皆野町立皆野中学校・皆野町立皆野小学校(埼玉県皆野町)訪問 |
5日目 | 10月27日 | 学校教育におけるICT技術の活用に関する講義 ワークショップ |
6日目 | 10月28日 | 遠州流茶道体験(学習院大学学習院百周年記念会館櫻風庵) 閉会式(修了証授与) |
参加したPIMの学生・生徒からは、本事業を通してこれからの人生にとってかけがえのない体験ができたとの感想を共有してくれました。また、参加した高校生全員が日本への留学の意志を示し、そのうち2名は早稲田大学進学を、さらにそのうち1名は今回の受け入れ機関である同大学人間科学部への進学を検討していること(もう1名も本学他学部へ留学しつつ、人間科学部での他箇所履修を望んでいます)から、本事業は海外から日本への留学を促すという点で効果的だったのではないかと捉えています。
一方、迎え入れた早稲田大学の学生たちにとっても、自身の専門分野や日本文化についてタイの若者に英語で説明したり、タイの伝統的なダンスを披露してもらうなど、世界に対する視野が拡がり、今後の学修への良い影響を期待することができそうです。
さらに、今回の交流事業では、タイ人、ベトナム人、カザフスタン人のTA、人間科学研究科修士課程英語学位プログラムに在籍する中国人の大学院生、米国の国籍ももつ教員が参加したため、タイ−日本の二国間にとどまらない国際的な交流ができたことも特筆すべきことでした。こうした草の根レベルでの国際的な交流によって結ばれた友好的な関係をベースとして、ICT教育の問題にとどまらず、国家間の紛争や環境問題等、国際的な諸問題を解決する願いと強い意志が若者たちの間に醸成されたものと信じています。