2022年度活動レポート(一般公募プログラム)第092号 (Aコース)
光合成生物の構造・機能・生理に関する研究の研修
岡山大学・異分野基礎科学研究所
特任教授 高橋 裕一郎さんからの報告
2023年2月1日から7日の日程で「光合成生物の構造・機能・生理に関する研究」という交流テーマで「科学技術体験コース」を実施しました。インドの北東地域のメーガーラヤ州(Meghalaya)の州都であるシロン(Shillong)の中心的な大学であるノースイースタンヒル大学(North−Eastern Hill University)の生化学科から、博士後期課程の学生6名と引率教授1名の合計7名が岡山大学と京都大学を訪れました。招へいした研究グループは、シアノバクテリアの代謝学を研究しており、光合成反応とその他の代謝系との関連に興味があり、科学技術体験では光合成生物の構造・機能・生理に関する研究についてセミナーを受け、研究設備を見学し、さらに日本の若手研究者・大学院生と一緒に日本の歴史文化に触れるという有意義な研究交流ができました。
【岡山・倉敷での研修】
2月1日午前中に岡山空港に到着し、オリエンテーションを済ませた後、市内のホテルで長旅の疲れを少し癒やし、岡山市内見物として岡山後楽園と岡山城を訪れました。日本の歴史的文化に触れるいい機会であった言えます。岡山大学の小澤真一郎助教が岡山での引率を担当しました。
2月2日は岡山大学・異分野基礎科学研究所を訪問し、光合成タンパク質の構造生物学の最先端の研究を進める沈建仁研究室と光合成タンパク質の生化学・分子生物学の研究を専攻する高橋裕一郎研究室の研究内容のセミナーを受講し、研究室の設備見学をしました。光合成の光化学系複合体の構造解析の最先端の研究成果と、光合成タンパク質の生合成・分子集合に関する生化学および分子生物学的な研究成果について紹介しました。その後、岡山大学のキャンパスを案内しました。
2月3日は倉敷市の岡山大学・資源植物科学研究所を訪問しました。午前中は江戸幕府の天領であった倉敷の美観地区を見物し、日本の伝統的な町並み、建築、文化などを見学しました。午後は、研究所の坂本亘研究室で植物のストレスに関するセミナーを受け、研究設備や圃場を見学しました。ここではより応用に近い植物科学の研究手法の最先端の研究手法についての紹介ができました。
【京都での研修】
2月4日は、岡山から京都まで新幹線で移動しました。約1時間と短い時間でしたが、高速鉄道に初めて乗る体験を満喫しました。午後は京都市内を見物しました。
2月5日は、京都大学の伊福健太郎教授とその研究室の大学院生が京都市内見学の案内をしました。かつての日本の都であった京都の大寺院(清水寺、建仁寺、三十三間堂など)を見学しました。仏教寺院はヒンドュー教の寺院の様式に大きく影響を受けているため、日印の文化の相同性と違いについて大きな印象を受けた様子でした。市内見物をしながら、京都大学とノースイースタンヒル大学の学生同士の交流を深めることができました。
2月6日は、京都大学を訪問し、鹿内利治研究室(理学研究科)、福澤秀哉研究室(生命科学研究科)、伊福健太郎研究室(農学研究科)の3研究室で異なる視点からの光合成に関するセミナーを受け、それぞれの研究設備を見学しました。
さらに、光合成の分子遺伝学や分子生物学に関する研究成果を京都大学の若手の教員や大学院生がポスターで紹介しました。若手研究者同士の研究交流も活発になり、研修の内容をさらに充実させることができました。翌日の帰国のフライトが朝早いため、夕刻には伊丹空港の近くのホテルにバスで移動しました。
2月7日は、大阪伊丹空港より朝のフライトで出発するのを見送りました。