2022年度 活動レポート 第80号:都城工業高等専門学校

2022年度活動レポート(一般公募プログラム)第080号 (Cコース)

ロボットコンテスト参加に向けた実践的なロボット製作に関する技術研修

都城工業高等専門学校からの報告

 2022年12月2日~9日にさくらサイエンスプログラムとして、アジア太平洋ロボコン(ABUロボコン)と高専ディープラーニングコンテスト(DCON)に参加するモンゴル3高専(モンゴル高専技術カレッジ・新モンゴル高専・モンゴル科学技術大学付属高専)から9名の学生と2名の教員を招へいして、技術研修を行いました。研修内容は、ABUロボコンに参加する学生3名とDCONに参加する学生6名が、本校ロボコン学生とコンテストに向けて技術交流を行うというものです。

 ロボコンに参加する学生は、モンゴル高専にはない本校の機械加工設備を利用して、ロボット部品の製作に取り組んでもらいました。モンゴル高専では、ロボットに利用する機械部品等の製作実習は十分な設備が配置されていないので、このような交流プログラムの中で本校設備を使用することは、モンゴルで行われる製作実習のフォローアップにつながります。学生たちは、まさに水を得た魚のように、時間を忘れてロボット部品の機械加工に取り組んでくれました。日本でのものづくりの流れを体験した学生たちは、有意義な時間を過ごすことができたと思います。

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高専ロボコン出場ロボットと記念写真

 DCONに参加する学生には、レーザー加工機や3Dプリンタなどを利用して、即効性の高い、アイデアを具現化する作業を体験してもらいました。現在、ものづくりの現場でも試作製作の時間は短時間化しており、レーザー加工機や3Dプリンタを使用することは当たり前のようになっています。レーザー加工機はモンゴル高専にはないため、加工時間の速さに学生たちも驚いていました。このような先端設備に触れることは、モンゴル高専の学生たちにとても大きな刺激を与えると感じます。シングルボードコンピュータを使って、AIを利用する装置を製作する経験は、学生たちの強い自信につながったのではないかと考えます。

 技術研修では、本校教職員による技術的な指導がメインとなりましたが、放課後は本校ロボコン学生たちも加わり、モンゴル高専の学生と交流を行いながらサポートしてもらいました。モンゴル高専の学生は、日本語の授業を受けています。その授業で得た知識を使って、日本語によるコミュニケーションに努めてもらいました。最初は、少し距離があるように感じましたが、時間とともに日本語が飛び交いはじめ、積極的な学生交流が行われていました。

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本校学生との技術交流

 日程としてタイトなスケジュールでしたが、その期間中に地元企業の工場見学と、海を見たことのないモンゴル高専の学生たちに、宮崎のきれいな海を堪能してもらいました。見学した企業には、モンゴル高専の卒業生が就職して働いており、日本での就職を希望している学生たちは、その経験談に大きく耳を傾けていました。工場内では、オーダーメイドで開発されている食肉加工用の機械が並び、興味を示した学生から設計開発者への質問が繰り返し行われていました。

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企業見学、モンゴル高専卒業生との質疑応答

 そしてモンゴル高専の学生にとって未知の世界となる海洋見学は、イルカショーから始まりました。想像を超えるイルカのジャンプや人間とのコミュニケーション能力に、モンゴル高専の学生たちは圧倒されていました。イルカとのふれあい体験では、実際に餌をあげたりイルカをなでたりしましたが、海に生きる動物に初めて触れた経験は、学生たちにとってかけがえのない思い出になったと思います。日南の景勝地でもある鵜戸神宮を訪れ、学生たちみんなで参拝しました。鵜戸神宮は、昨年度に宮崎県に襲来した猛烈な台風により大きな被害を受けましたが、参拝時もその爪痕は残っており、モンゴルにはない台風災害の状況を知ることもでき、自然のもつ大きな力に驚いていました。企業見学と海洋見学は、モンゴル高専の学生たちにとって良い経験になったと思います。

 後日、今回のさくらサイエンスに参加したモンゴル科学技術大学付属高専のチームが4月に日本で行われるDCON2023本選出場に選ばれたとの嬉しい知らせが届きました。モンゴル高専から初めて本選に選出されたとのことです。さくらサイエンスでの技術交流が明確に効果を出していることが証明されました。今後も、さくらサイエンスを通じて、海外学生との技術交流を推し進めていきたいと思っていますので、引き続きよろしくお願いいたします。

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鵜戸神宮にて