2022年度 活動レポート 第73号:日中医学協会

2022年度活動レポート(一般公募プログラム)第073号 (オンライン)

中国の若手医療従事者が日本の最先端医学研究と高度な医療技術を学ぶ

日中医学協会からの報告

 さくらサイエンスオンラインプログラムの採択を受け、2022年11月29日から12月3日までの5日間、中国の幅広い地域19省市より、次世代のリーダーになりうる優秀な若手医療従事者および医学生29名が参加し、日本のトップレベルの大学病院・研究所をオンラインで繋ぎ、最先端の医療と研究を実践している各専門家にレクチャーいただき、交流を行いました。

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若手中国人医療従事者とのオンライン交流

【東京大学医学部附属病院専門家との交流】

 1) 亀山祐美 認知症センター副センター長/老年病科講師  講義:「AIで認知症早期診断」
 2) 田村純人 国際診療部長      「病院の紹介」
 3) 飯塚陽子 国際検診センター長   「国際検診センターの紹介」

 日本の医学医療を牽引する病院の高度医療の実践、外国人修練制度などについて説明を受け、AIを活用して認知症を早期発見する世界初の研究および高度な予防医療サービスの国際展開について知識を深めました。

【東京大学医科学研究所専門家との交流】

 1) 山梨裕司 所長 「研究所の紹介」
 2) 四柳 宏 先端医療研究センター感染症分野教授/東京大学医科学研究所附属病院長
     講義:「Problems for the elimination of hepatitis B and HIV by 2030」

 日本最大規模の生命科学系・医学系研究所と附属病院におけるトランスレーショナルリサーチ、多様な最先端研究、バイオバンクなどの紹介があり、世界的な枠組みで取り組んでいるB型肝炎とHIV撲滅のための課題について講義を受けました。

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山梨先生の講義四柳先生の質疑応答

【東京女子医科大学先端生命医科学研究所専門家との交流】

 1) 丸 義朗 東京女子医科大学学長よりビデオメッセージ
 2) 清水達也 先端生命医科学研究所所長・教授   「研究所の紹介」
 3) 北原秀治 先端生命医科学研究所先端工学外科学分野特任准教授
     講義:「Multidisciplinary faculty developing novel surgical systems, equipment, devices and contributing surgical science」

 世界をリードする細胞シート工学による再生治療やスマート治療室(SCOT)について講義を受け、先端テクノロジーと医学を融合した新しい医療技術と研究開発を学びました。

【静岡県立静岡がんセンター専門家との交流】

 1) 塩見明生 大腸外科部長  講義:「ロボット支援下大腸がん手術」
 2) 安達 勇 参与/日中医学協会副会長
     講義:「日本のがん治療の現状及び静岡がんセンターの理念とがん治療の取り組み」

 国内トップクラスの高度がん専門医療機関におけるがん治療の取り組みについて、ロボット支援手術に関する動画を交えた講義と緩和医療についての講義を受け、患者中心の全人的医療を目指したがん治療の実践について学びました。

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塩見先生の講義と質疑応答

【日中笹川医学奨学金制度研究者とのグループセッション】

 【博士課程在籍者】
 外科: 張春東 東京大学大学院医学系研究科 消化管外科学・乳腺内分泌外科学
 内科: 孔徳川 熊本大学大学院医学教育部/ヒトレトロウィルス学共同研究センター感染免疫学分野
 看護: 焦丹丹 筑波大学大学院人間総合科学研究科生命システム医学専攻国際発達ケア
 【博士学位取得者】
 孟雪 中国医大附属盛京医院口腔科(口腔颌面外科)主治医師 順天堂大学で博士(医学)取得

 現在日本の大学の博士課程在籍者3名と中国人参加者29名が外科・内科・看護の3グループに分かれて、オンライン上でグループセッションを行いました。また、日本の大学で医学博士号を取得し、中国医大附属盛京医院で活躍している医師ともオンラインで繋ぎ、日本での経験に基づいた留学や研究活動の情報を提供し、日本留学への関心を高め、来日につながるような交流を行いました。

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グループセッションの様子

 今後も、未来を見据えた新しい医療技術の創出や両国が抱える医療課題の解決に向けて、日中双方が医学医療分野で協力し、科学技術イノベーションに貢献できる人材の育成・確保を目指し、引き続き交流事業に取り組んで参ります。