2022年度活動レポート(一般公募プログラム)第067号 (Bコース)
日印を結ぶ次世代 ICTを担う先端研究交流プログラム
東京大学大学院情報理工学系研究科
教授 定兼 邦彦さんからの報告
東京大学大学院情報理工学系研究科では、2022年12月3日から12月23日まで、インド工科大学(IIT)デリー校、ハイデラバード校、カラグプール校、マドラス校より学生10名(大学院学生8名、学部学生2名)と教員2名、合計12名を招へいしました。
主な交流目的は、我が国の情報通信技術で世界をリードする東京大学情報理工学系研究科に、インドの最高学府 インド工科大学(IIT)でも最優秀のコンピュータ科学の学生を招へいして、世界最高レベルの共同研究を実施することで、今回はコロナ禍での初めての対面実施となりました。
本プログラムは、これまでの連携を礎に、双方の担当教員により、インド工科大学(IIT)から優秀な学生を選抜し、本研究科が世界的に強みを持つスマートシティ、高性能計算、先端アルゴリズム等の研究室にて世界水準の研究を体感してもらうとともに、我が国の情報通信関連の科学技術のすぐれた点を総合的に理解することができるような企画になっています。インド工科大学(IIT)ハイデラバード校、デリー校、マドラス校、カラグプール校と本研究科とは、これまでも連携を進めていて、情報理工学研究科との学生交流の覚書が締結されています。
プログラム開始にあたり、12月5日にオリエンテーションを行いました。その後、本郷キャンパスツアー、日本文化体験の一環として日本語教室(日本語レッスン)、および、着付け体験を実施しました。ちょうどキャンパス内の銀杏が色づいている季節にキャンパスツアーができたこともあり、木々が紅葉する自然の美しさや季節感も楽しんでもらえたようです。
また、12月16日には鉄道博物館とチームラボプラネッツへの日帰りバス旅行を企画しました。インドでは日本の新幹線方式を採用した高速鉄道プロジェクトが進行中であり、鉄道博物館にて我が国最先端の鉄道技術に関する知見を一層深くすることができました。一方、チームラボプラネッツは、世界的に注目度が高い企画です。コンピュータグラフィクス・ユーザインターフェース・AIなど情報理工技術から作ったプログラムは、学生にとってその技術の応用例から学ぶことが多くあったようで、長時間にわたって楽しんでいる学生も多くいました。
世界の先端をゆく本学の研究に触れることで研究への興味に目覚める学生も多く、本プログラムでの体験により着実に成果が上がっていることを実感しています。例えば、訪問先研究室にて、学生自身の持つ知識やこれまでの経験をもとに教授とディスカッションしたり、研究室が取り組む課題の一部に参加してみたりする中で、本学の研究に対して新鮮な感覚を持ったようです。それに加えて、日本文化への理解、わが国の同年代の学生との交流を通して、日印を結ぶ人的ネットワークを醸成し、多くの優秀な人材の日本への継続的な興味を喚起することができたと考えています。
さくらサイエンスプログラムの支援を受けて、インド工科大学(IIT)からの学生受入れをした経験を活かして、今後とも、より多くの優秀なインド人学生に日本のすばらしさと本研究科のすぐれた研究環境を体験してもらいたいと考えています。同時に、インド人学生受け入れが本学の在学生にとって大きな刺激になることを実感しており、本学の教育の高度化にも貢献が期待できると確信しています。そして今回、何よりも対面で交流することの重要性を改めて実感し、今後も対面での交流が継続できることを切に願っています。